2010年4月27日、石油メジャーのひとつであるConocoPhillips(ニューヨーク証券取引所銘柄:COP)とGeneral Electricの一事業部門であるGE Power & Water(同:GE)がカタールのドーハに共同で世界水持続可能性センター(GWSC)をオープンし、同国のAbdullah bin Hamad Al-Attiyah副首相兼エネルギー・工業大臣を迎え、公式のオープニングセレモニーを行った。カタール科学技術パーク(QSTP)内に新設されたこのセンターは、主に石油・石油化学業界を対象とした革新的な水ソリューションを研究・開発していくことになっているが、同時に、都市や農村の水ソリューションにも力を入れていくことになっている。
「GWSCは、ConocoPhillipsの石油産業の現場における水の問題に関する知識や経験と、化学製品や設備や高度な膜製品の分野で世界のトップを行くGEの技術を組み合わせ、私たちの事業や一般の市民生活の中での革新的な水ソリューションを生み出していくことを目的に設立した施設です。ConocoPhillipsは水資源を保全し、保護していくことを宣言しており、こうして多額の資金を投じて本格的に水の研究に乗り出していく施設ができたことを誇りに思っています」ConocoPhillipsのテクノロジー担当上級副社長のStephen R. Brandはそう語っている。
一方、GE Power & Waterの水処理技術部門の最高技術責任者のChristine Furstossも次のように語っている。「GEは10年以上も前からConocoPhillipsとさまざまな面で協力してきており、GWSCを設立したのも、そんな関係を自然に発展させた結果です。このセンターができたことで、両社の能力が相乗的に高められ、世界で最も逼迫した水問題ばかりでなく、地域で最も逼迫した水問題にも対処していくことができるでしょう。GWSCは、持続可能な水供給を求めているカタールのニーズに応えるソリューションを開発することを目標に掲げており、中東のインフラ開発に積極的に投資して関わっていこうとしているGEの姿勢の表れでもあります」
今のところ、GWSCの事業の4分の3は石油・石油化学業界が中心となり、残りの4分の1が都市、農業などの民生部門に向けられる予定である。世界の石油採掘現場では、平均すると、石油生産量1バレルにつき約3バレルの水が発生している。だが、通常、この水は残渣成分を含んでおり、大がかりな処理を行わずに使用できる用途は限られている。処理した水の用途として考えられているのは、処理プロセス内でのリサイクル、工場の冷房、農地の灌漑、家畜の飲み水、野生生物の生息地の保護などであり、そのほかに民生用に利用できる水が大量に生じると考えられている。
GWSCは、センター内にビジターセンターもオープンし、カタール国内で国民や業界向けのキャンペーンを繰り広げるのと並行して水保全の意識や技術を広めていくプロジェクトも積極的に応援していこうとしている。そして、そのなかでは、教育や訓練、知識の共有、公共の奉仕活動といった分野にも力を注ぎ、水の乏しい地域における水の保全や都市の水のリサイクルなどに焦点を絞ったワークショップなども開催していく予定である。