国連環境計画と国連人間居住計画、水資源の汚染によってもたらされている世界的な脅威について説明した報告書を発表

国連環境計画(UNEP)と「国連人間居住計画(UN-HABITAT:United Nations Human Settlements Program)」は2010年3月22日に発表した報告書のなかで、毎日200万トンを超える下水および産業廃棄物と農業廃棄物が水路に流れ込むので、世界は水質危機に直面していると述べた。

この報告書Sick Water? The Central Role of Wastewater Management in Sustainable Development(不健全な水?持続可能な開発における廃水管理の中心的役割)の主な内容は、UNEPのAchim Steiner事務局長とともにこの報告書を「世界水の日(World Water Day)」にケニアのナイロビで発表したUN-HABITATのAnna Tabaijuka事務局長のコメントも含めて、次のようである。

汚染されていない水や公衆衛生を確保するという課題は、急速な都市化、工業化、そして食糧生産の増加、の結果として引き続き大きくなってゆく。

都市人口は、現在の34億人から2050年までに64億人に増える、すなわち40年間でほぼ2倍になる、と予測される。しかしながら、ほとんどの都市は、下水道インフラが老朽化していたり、不十分であったり、また、それがなかったりしていて、十分な廃水管理ができていない。

廃水は、肥料を含んだ流出水、下水、それに、動物、工業、農業、採鉱などの廃棄物の混合物である。

戦争などのすべての形の暴力より多くの人々が汚染された水で死亡している。この死亡者には、毎年約200万人の5歳未満の子どもが含まれているが、これは20秒ごとに1人、このような子どもがなくなっていることになる。状況は、途上国において最悪であって、ほぼ9億人の人々は、安全な飲料水を得ていない。

南アジアの2億2100万人、サハラ砂漠以南のアフリカの3億3000万人を含む、約26億人の人々はまた、必要最小限の公衆衛生も得ていない。

廃水はまた、気候変動と関連がある排出の一因となっている。メタンと亜酸化窒素は、強力な地球温暖化ガスであるが、流出廃水から発生するこれら2種のガスは、1990~2020年の間にそれぞれ50 %、25 %増加する恐れがあると予測される。

壊れやすい生態系を復活させ、水と公衆衛生に関係するインフラを改善するための国家的計画を定めるよう各国政府に勧める。

ところで、別のUNEPの世界の水質に関する報告書Clearing the Waters: A Focus on Water Quality Solutions(水系を浄化する:水質の解決策に焦点)もまた同日にナイロビで発表された。この報告書では、汚染の防止、汚染された水の処理、そして壊れた生態系の復元、によって水質を改善するための仕組みが説明されている。

報告書Sick Water? The Central Role of Wastewater Management in Sustainable Developmentは、以下のウェブサイトでダウンロードできる。
http://www.grida.no/_res/site/file/publications/sickwater/SickWater_screen.pdf

また、報告書Clearing the Waters: A Focus on Water Quality Solutionsは、以下のウェブサイトでダウンロードできる。
http://www.unep.org/PDF/Clearing_the_Waters.pdf