欧州委員会、加盟国の水不足対策に関する報告書を発表――中央ヨーロッパ諸国でも水不足が問題に

欧州委員会は、2010年5月18日、加盟国の水不足対策に関する報告書を発表した。同報告書により、特定の加盟国では、国全体が恒常的な水不足の危機にさらされつつあることが明らかになった。また、地中海沿岸地域だけでなく、チェコなどの中央ヨーロッパ諸国でも水不足に直面していること明らかになった。さらに、フランスやベルギーでは、帯水層からの地下水の過剰採取が問題となっていることも報告されている。

2009年に欧州委員会に向けて作成された報告書は、拡張されたエコ・デザイン指令によって、水を使用する製品に要件を課すことで、大幅な水の節約が達成できると報告している。仮に、すべての水使用製品が、エコ・デザイン指令によって規制されることになれば、水の総消費量が19%削減でき、またEUの年間水採取量が3.2%削減できるという。あるいは、風呂・シャワーの時間や頻度を減らすことで、20%~30%の水の節約が可能であるという。

今回発表された報告書は、今後の水資源管理における重点を“水需要の抑制”に置くことを確認するとともに、供給側を管理することによる水消費削減措置は、(需要における)水の節約に限界がきたときに取られるべきであると結論付けている。

また、同報告書は、水不足の影響を受けている加盟国で、水枠組み指令の実施に遅れが出ていることに、懸念を表明している。加盟国には、2010年3月までに河川流域管理計画を提出することが求められていたが、まだ、国内でのコンサルテーションが始まっていない加盟国もある。

2009年、南ヨーロッパの降水量は、前年より増加した。しかし、ヨーロッパの限りある水資源の過剰採取に歯止めをかけるには、さらなる取り組みが必要である。十分な量および質の水を確保するために、適切な水価格の設定、水の効率的な利用、水の節約が求められている。

欧州委員会が発表した報告書は、以下のURLよりダウンロードできる。
http://ec.europa.eu/environment/water/quantity/pdf/com_2010_0228_report.pdf