インド、汚染が深刻なガンジス川への排水を行っている企業を監査――違法企業には操業停止命令も

インド中央公害管理委員会(CPCB:Central Pollution Control Board)は、2010年9月~10月の間に計3週間にわたって、同国を流れるガンジス川のカナウジ(Kannauj)―バラナシ(Varanasi)間(約500km)に立地している26社の工場の監査を実施した。監査対象となった施設は、すべて、廃水を直接ガンジス川に排水している。この監査の結果、排出基準を遵守している企業はわずか2社であり、9社が是正勧告、4社が操業停止命令を受けた。また、3社が環境修復措置をとることを命じられた。

2010年8月28日にJairam Ramesh環境森林省大臣がカーンプル(Kanpur)を訪問して以降、CPCBはガンジス川の水質汚染モニタリング・プログラムを実施している。モニタリングが行われているのは、カナウジ―バラナシ間の約500kmの範囲である。同河川は水質汚染がひどく、この問題は、同国における重大な環境汚染のひとつとなっている。

今回実施された工場監査は、環境(保護)法第5条に基づく権限が行使された初めてのケースである。同第5条は、中央政府に対して命令を発令する権限を与えている。これまでにCPCBが発令した命令は、すべて、水質汚染(防止および管理)法第18条に基づき、州公害管理委員会(SPCB)に対して出されたものであった。

カナウジ―バラナシ間のガンジス川沿い(約500km)には、同河川に直接排水を行っている上述の26社のほかにも、多くの工場がある。カーンプルには402の皮革加工工場があり、これらの工場は共通の廃水処理施設に接続されている。さらに、600~700の産業施設もある。これらの施設は、廃水を排水溝や支流に排水を行っており、最終的には汚染物質がガンジス川に流れ込むことになる。CPCBは、今後、これらの施設をすべて監査する予定である。