世界の飲料水・廃水処理用化学薬品市場、2015年までに239億ドル規模に

Global Industry Analysts Inc.は、飲料水・廃水処理用化学薬品市場に関する世界的規模の総合的な報告書の発売を発表した。この報告書のなかで、飲料水・廃水処理化学薬品の世界の市場は、2015年までに239億ドル(約2兆円)に達すると予想されている。飲料水や農業・工業目的の淡水の需要の高まりと環境保護イニシアチブの活発化が、世界の水処理化学薬品市場の主な成長の推進力である。加えて、急増する世界の人口、急速な工業化そして限られた水資源のリサイクル/再利用もまた長期の成長見通しを速めるのを助けると思われる。

最近の3世紀の間に、水の使用量は、35倍にふくらんだ。水は、21世紀の石油として浮上しており、持続可能性が中心となる必需品である。汚染とともに、水資源の減少、工業化の高まりによって、この問題に対処するための緊急の効果的な対策が必要となっている。

水処理市場は、工業および農業セクターの淡水あるいは飲料水の需要の高まりによって推進されている。人口と産業活動の増加によって飲料水資源が圧迫されて、驚くべき率で減少している。水資源のなかのさまざまな無機・有機の物質の存在によって表面化した健康上の懸念によって水処理の必要性が増したし、産業や家庭の汚染物質の未規制の排出によってもその必要性が増した。

2009年の景気後退の後、産業は、特に途上国において、もっと産業化を進めたいという衝動に駆られて拡大し続けると思われる。したがって、水処理薬品の需要もまた増加すると見込まれる。

先進国では、主な市場の推進力は、環境規制に従う必要性である。欧州連合(EU)は、飲料水の水質基準と廃水処理基準に最も厳しい標準の1つを適用していることを誇っている。

淡水化、悪臭防止および金属分離は、2桁の成長を記録すると思われる産業区分である。水の再利用とリサイクルが引き続き増えるので、細菌汚染から守るために水処理薬品としてのバイオサイド(殺生物剤)の需要も高まると見込まれる。

世界の水処理市場は、躍動し続けていて、水処理用薬品、そして装置製造業者、に何にも邪魔されず収益を生み出している。成熟した地域市場での需要は、装置の取り替え、技術の改良、そして新製品や画期的な製品の導入によって促進されると思われる。淡水化における高機能膜の幅広い活用、レクリエーション施設の水処理のためのより使いやすい製品の開発、そして産業用水の処理における特殊化学薬品の使用は、さらにこの市場が数年のうちに、特に途上国において、増大するのに役立つと考えられる。

米国は、引き続き産業用水と都市用水の水処理製品の主要な世界市場である。しかしながら、アジアは、世界市場における将来の成長を推進する可能性を誇示している。

水処理と廃水処理の持続可能な技術の市場は、主にたとえば、エネルギー効率、リサイクル、資源回収、再利用、ごみ減量化などの分野において世界経済のメルトダウンによって生じた新しい機会によって推進される。持続可能な技術とサービスは、2009年中の世界的不況に対して回復力を与えた。

水・廃水処理に関連するインフラ・プロジェクトの資金が底をつき、焦点は今、水市場に役立つ環境に配慮した技術に移行している。この市場は、抑制的なコストと不十分な資金という形で困難に直面している。持続可能なソリューションは、本質的に金がかかるし、高コストのため大多数の市場関係者には利用しやすいものではない。

世界中で水処理用化学薬品のいくつかの市場は、主として世界的な金融危機の後遺症によって鈍い成長に見舞われると見られている。化学薬品の需要は、景気後退の始まりの最中の2008年の最後の四半期に落ち込み始めて、その傾向は、2009年、そして2010年の初めの数カ月続いた。しかしながら、市場は、環境保護イニシアチブ、産業化、人口の増加などの要因に支えられて、2012~2013年までに順調な成長軌道に乗ると見込まれている。

飲料水・廃水処理化学薬品に関する新市場調査報告書の述べているところによると、北米市場は、議論の余地なくトップ市場である。米国市場の主な成長推進力には、環境問題に関する関心の高まりと水中の有機含有量、浮遊物質、汚染物質に関する連邦と州のレベルでの厳しい規制などが挙げられる。

しかしながら、最高の成長見通しという観点では、アジア太平洋が、2015年まで約3.9 %という最速の複合年間成長率(CAGR)で拡大して、断トツの1位として浮上する見通しである。この地域における成長に役立っている要因には、貧弱な公衆衛生設備、増え続ける人口を満足させる食糧必要量、飲料水に対する急速な需要などが含まれる。

製品区分については、腐食・スケール(湯あか)防止化学薬品が最大の市場である。しかしながら、成長に関しては、バイオサイド・殺菌化学薬品が、2007~2015年という評価期間に最高のCAGRで成長すると予測されている。

飲料水・廃水処理化学薬品の市場は、本質的に非常に断片化していて、この数年間相次ぐ合併、買収、戦略的協力などに直面した。市場構造は、大ざっぱに言えば、原料供給業者、サービス会社、コンサルティング・エンジニアリング会社に分けられる。

上記報告書で取り上げられた主な企業は、ALCAN Specialty Aluminas、Ashland Water Technologies、BASF SE、Buckman Laboratories International, Inc、BWA Water Additives UK Ltd、Calgon Carbon Corp.、The Dow Chemical Company、E. I. du Pont de Nemours and Company、GE Water & Process Technologies、General Chemical Performance Products LLC、Kemira OYJ、Kurita Water Industries Ltd、Norit NV、Nalco Company、Organo Corp、Qemi International Inc.、SNF S.A.S、Solvay SAなどである。