3Mが米ミネソタ州のSt. Paul市から土壌・水質汚染の責任を問う訴えを起こされる

2010年12月30日、ミネソタ州のSt. Paul市が同州Maplewoodに生産拠点を置く3M社に対して、過去50年間にわたってパーフルオロ化合物(PFC)で州の水を汚染してきた責任を問う訴えを起こした。同州MinneapolisのHennepinカウンティ地方裁判所に提出された訴状は、同社がPFCを使用したり処分したりすることによって同州の天然資源に損害を与えてきたと訴えている。損害の規模は特定されていないが、同州はこれまでに浄化作業を通して多大な費用を支出してきたと主張している。

3M社の広報担当のBill Nelsonによると、同社はこの訴えを受けて驚いているという。同社はかつて自社の廃棄物を投棄していた場所の浄化に取り組んでおり、すでに2カ所で土壌を除去する作業を完了し、3カ所目の土壌除去作業に取り掛かろうとしていたところだったからだ。

また、同社はWashingtonカウンティの埋め立て処分場の浄化作業について、州に対して800万ドル(約6億6000万円)の支払いも行っている。このような浄化努力を行っていたことから、MinneapolisとSt. Paulのツインシティの大都市圏の東部の住民には、飲料水が安全だという安心感を持ってもらえていると思っていただけに、今回の訴えには驚いている。

訴状によると、3Mは50年以上前から染料の剥離剤や難燃剤などにPFCを使用し、その結果生じた廃棄物や廃水を州内に投棄してきたという。廃棄物は地中に埋め、そこから染み出した水が土壌を汚染してきたし、パイプを通して排出された廃水もミシシッピ川に垂れ流しにされてきた。その結果、ツインシティの大都市圏の東部で市の水道や住民が独自に掘って利用している井戸の水が汚染されてきたとされている。また、訴状では、3MがPFCを投棄していた場所の地下にある4つの主な飲料水用の帯水層でPFCが検出されたことも明らかにされている。これらの帯水層は、12万5000人を超えるこの地域の住民にとっては唯一の飲用水源である。

このため、同州保健部では、2007年から3MがPFCを処分してきた場所の近くで掘削される井戸の数を制限する措置をとり、翌年には、ミネソタ州汚染管理局がミシシッピ川とElmo湖の周辺の一部の地域を水質浄化法にもとづいて汚染地域に指定していた。また、同保健部は、州民に対して、これらの川や湖で捕獲した魚を食べるのを控えるように注意も喚起していた。

この訴訟について、Lori Swanson同州司法長官は声明を出し、同州と3MがこのPFC汚染にどう対処するかについて合意に達することができなかったことを明かしている。同州と3Mは2010年5月に、これまで3Mがとってきた汚染対策はひとまず置いて、共同でこの問題の解決に取り組むことで合意していた。その上での話し合いの期限が2010年12月30日に設定されていて、その日になっても最終的な合意に達することができなかったために、この訴訟が提起されたのである。