「ソニー中国」の環境負荷ゼロに向けた取り組み――水消費量を大きく削減

2010年4月、ソニーは2050年に環境負荷ゼロを達成するという長期目標を制定し、気候変動への対応だけでなく、資源リサイクル、化学物質管理、生物多様性保全をも包含し、環境負荷ゼロへの第一歩として「グリーンマネジメント2015計画」(GM2015)を設定した。

ソニーでは2011年4月1日からGM2015の実施段階に入る。5年計画の中で、技術開発、調達、商品企画・設計、製造、物流、回収・リサイクルの6つの面で詳細な計画を定めた。環境とエネルギーを研究開発の重点とし、積極的に投資を行い、設計する製品の平均電力消費を2008年比で30%削減し、単位製品当たりの重量を10%削減する。

製造工場では2000年と比べ温室効果ガス排出と水消費量を30%削減し、廃棄物発生総量を50%削減し、調達において供給元の温室効果ガス排気量を抑制する体制を構築した。そのほか、収集処分業者と提携し、収集システムを構築した。うち、温室効果ガス排出と年間電力消費の2015年の目標については、世界自然基金(WWF)の審査を受ける。

ソニー凱美高電子(蘇州)有限公司では、エアコンプレッサーについて省エネ改造を行い、制御装置導入を通じ、生産負荷によりコンプレッサの運転台数を自動調節し、集中自動制御により、年間二酸化炭素排出量を160トン削減した。

ソニーデジタルプロダクツ(無錫)有限公司、ソニー凱美高電子(蘇州)などでは積極的に部品回収箱を普及させ、従来は廃棄されていた部品、包装材料、トレーを選別した上でリサイクル利用した。このために、供給元の協力を求めリサイクル利用可能な包装材料を導入する一方、従業員への教育を強めリサイクル利用の識別水準を向上させた。

ソニー凱美高電子(蘇州)有限公司は太湖流域に位置しており、廃水排出が基準値をクリアしているかどうかに気を使わなければならない。2009年に汚水処理、中水リサイクル・システムを導入し、工場内の廃水の約35%をリサイクル再利用し製造工程で使用し、年間40万トンの水を節約し、工業用純水を一日当たり1900立方メートル製造している。更に、国で定めているBOD、CODなどの測定指標以外に、独自の高いハードルを設け、太湖に一滴の汚水も流入させないようにしている。

廃水処理で出た汚泥については、中和、凝集沈殿、濾過、脱水など汚泥処理方法の改造を行い、高効率脱水機を導入し、汚泥発生量を40%削減した。

同様に太湖流域に位置するソニー電子(無錫)有限公司、ソニーデジタルプロダクツ(無錫)有限公司ではそれぞれ2008年と2009年に生活汚水再利用システムを導入し、一日当たり2社計最大350トンの汚水を再利用している。

2006年から2009年までの間に、ソニーは一連の節水を行い、中国の全事業所の水消費量を290万トンから130万トンに削減した。

省エネ、排出削減、循環利用以外に、ソニーでは自己の技術力を発揮して、製品の小型化、軽量化、インテリジェントセンサ利用の省エネ、リサイクル材料の使用、クリーン・エネルギーの開発などの努力を続けている。