Veolia、減益をうけて2013年までに40億ユーロの資産を売却へ

世界最大の水道ユーティリティであるVeolia Environment SA(本社:パリ)は、2010年の決算が思わぬ減益となったのをうけ、向こう3年間に40億ユーロ(約4600億円)の資産を売却するとしている。

Veolia Environmentの2011年3月4日の発表によると、同社の2010年の純益は5億8110万ユーロ(約662億9000万円)で、2009年の5億8410万ユーロ(約666億4000万円)と比べて減益となった。これは、Bloombergによる調査で10人のアナリストがそれぞれ予想した純益の平均値6億3150万ユーロ(約719億4000万円)よりも低い。また、経常利益は21億2000万ユーロ(約2420億円)で、これは2009年の19億8000万ユーロ(約2260億円)を上回っており、また、売上も347億9000万ユーロ(約3兆9640億円)に伸びている。

Veoliaは2011年の調整後営業利益の伸びを4%から8%の「範囲内に」することをめざしており、純利益を伸ばすとともに、2億5000万ユーロ(約290億円)のコスト削減をはかり、13億ユーロ(約1500億円)の資産売却をおこなうとしている。2013年までの3年間の資産売却額は40億ユーロに、コスト削減は年平均3億ユーロ(約340億円)になる。

廃棄物ビジネスを拡大:

2009年の景気後退で企業顧客が工場を遊ばせざるをえなくなり、その結果ユーティリティ・サービスの需要が落ち込んでからというもの、Veoliaは競合相手のSUEZ Environmentと同様、産業廃棄物分別業務の拡大に努めてきた。Veoliaによると、産業廃棄物処理ビジネスは売上のおよそ3分の1を占め、その時間的変動は、工業生産の波を約半年遅れで追いかける。

VeoliaもSUEZ Environmentも、ここ数ヵ月はリサイクル材料の価格高騰の恩恵をこうむってきた。SUEZは2011年2月、過去1年間の利益が40%増加したこと、また、2011年はじめの廃棄物処理量が、2009年の不景気以前ほどには回復しなかったものの2010年はじめのそれを上回ったことを明らかにした。

負債の圧縮が急務:

VeoliaのAntoine Frerot CEOが資産の売却に踏み切ったのは、現在はElectricite de France SAのトップにおさまっているHenri Proglio前CEOが2007年から2008年にかけてこれでもかというほどおこなった企業買収のためにふくらんだ負債を減らすためである。

2010年にVeoliaの純金融負債は、2009年の151億3000万ユーロ(約1兆7310億円)から増えて152億1000万ユーロ(約1兆7410億円)となった。

Veoliaは、世界中の約1億1000万人に水を供給し、約500万人の廃棄物を収集・処理している。また、28ヵ国で公共輸送サービスを提供し、ヨーロッパとアメリカでエネルギー供給事業をおこなっている。