アメリカの政府関係者、環境団体、それに議会スタッフは、2011年の水質関連の優先課題として、雨水流出規制、富栄養化物質の削減、および予算が厳しいなかでの老朽インフラ対策を挙げている。これらは多分に規制がらみの問題ではあるが、議会による州水質浄化リボルビング基金の再授権の問題もふたたび浮上してくるだろう。
雨水流出規制:
環境保護庁(EPA)は、新規開発や再開発にともなう建設が原因の水質汚染を抑制するための雨水流出規制に関する規則を策定中である。この規則は、水質浄化法のもとでの国家雨水プログラムを強化するためのもので、分譲地、道路用地、産業施設、商用ビル、ショッピング・センターなどからの流出が規制対象となる。規則案は2011年9月に提示され、最終規則の制定は2012年になる見込みである。
EPAは、現在策定中のこの規則を、持続可能性とグリーン・インフラの考えかたを重視したものにしたいとしている。雨水流出抑制のためのグリーン・インフラとしては、レイン・ガーデン(雨水の吸収性に富む緑化区画)や屋上の緑化などが想定されているが、これらが義務的なかたちで規則に盛り込まれるかどうかについてはまだ明らかになっていない。
富栄養化対策:
富栄養化は、農地からの流出水や下水などによって起こり、雨水の流出とも密接に関連している。リンと窒素による汚染は、雨水流出、下水、肥料、および家畜の排泄物が原因で起こり、これが地表水の富栄養化をもたらしている。EPAは、2010年に公布した最終規則のもとで、フロリダ州の河口水域および沿岸水域の富栄養化物質基準を2012年8月までに公布することにしている。
老朽インフラ対策:
上下水道インフラに関して全米下水道局協会は、合流式下水道越流水、汚水下水道越流水、富栄養化、雨水流出などに自治体が取り組むのに、ますます膨大になるコスト面での問題への対処も含めた総合的ガイダンスが必要だと、以前からEPAに訴えてきた。こうしたガイダンスは1997年のものがあるだけで、これではとうてい現在の問題を解決する役には立たないと同協会は指摘している。
全米下水道局協会はさらに、限られた予算を最大限に水質改善に役立てるために予算の使い方に柔軟性をもたせてほしいと要求している。また、連邦議会の前会期でけっきょく承認されなかった州水質浄化リボルビング基金の再授権を、今会期ではぜひとも実現させてほしいと働きかけを強めている。