ベトナムで都市化による水不足の脅威が増す――上下水道整備ではODA頼み

現在のような都市化のスピードを前提とした人口予測によると、ベトナムの2025年における都市人口は5200万人になる。都市部における人口の急激な増加はベトナムの給水、排水、廃水処理に対する重大な脅威となるであろう。

ベトナム全体では約240の水道会社があるが、実際の水供給量は一日当たり450平方メートルのみであり、しかも水漏れの割合は30~40%と高い。現在、ベトナムには約750の都市があり、その中の約450都市が給水システムを備えて付けており、浄水を供給される市民の割合は76%である。

また、ホーチミン市、ダナン市、及びカント市にて展開されている下水プロジェクト以外には、他の市では、集中廃水処理システムがまだ整備されていない。とりわけ、ハノイでは、一日約50平方メートルの廃水が垂れ流されており、廃水量全体の僅か10%未満の廃水が処理されているに過ぎない状況である。

その一方で、操業している154の工業団地の中で43ヵ所の工業団地は集中廃水処理工場の建設に投資したが、わずかな工場が処理を行っているにすぎない。しかも、地方の規制当局は工場から雨水ますや集中廃水処理システムに排出される廃水の水質に対して、強制力のある規制執行や検査をあまり行っていない。

ベトナム給水下水協会(VWSA_Vietnam Water Supply and Sewerage Association)のPham Ngoc Thai博士によると、都会での排水と廃水処理プロジェクトは複雑な掘削作業を伴うので、特別なプロジェクトだという。水道プロジェクトは負債を支払う能力がない一方で、巨額の資金が必要である。毎年、ベトナムの水質基準を満たすために必要とされる廃水処理には37700万ドル(約313億円)が必要だが、自前の資金がないためODAに頼るしかない状態である。

ベトナム政府は、2025年までに都市における給水、排水、廃水処理の目標を達するために、今後、ODAプロジェクトを進めてゆく考えである。具体的には、給水網を改造し、水漏れを出さないような適切な技術を選択するとしている。それに加え、排水システム及び効果的な持続性のある運用管理規制を整備しようとしている。