オーストラリア、降水量の増加等により都市部と地方で水道事業のパフォーマンスが改善

オーストラリアの国家水委員会は2011年4月14日、都市水道事業および地方の水道事業者に関する2つの報告書を発表した。これらの報告書の発行に基づき、サスティナビリティおよび都市水事業を統轄する政務次官Don Farrell上院議員は、「これらの報告書は、水需要が効率的かつ持続可能な方法で供給されているかどうか、消費者が確かな情報に基づいて判断をすることを可能とする重要な基準となる」と語っている。また同議員は、「政府、産業、そしてコミュニティは、水道事業者のパフォーマンスについて正確な情報を把握することに強い関心がある。近年オーストラリア東部の広い範囲で降水量が増加していることもあり、2009年から2010年にかけて都市部と地方の両方で水道事業に関するパフォーマンスの向上が見られた」と語っている。

都市水道事業の報告書が示すように、貯水池の水位が回復したことによって水道事業者は、規制緩和もしくは永続的な水資源保護対策の実施が可能となり、2009~2010年の家庭における水の使用量はわずかに増加した。国家水委員会のChloe Munro委員長によると、「産業界によるインフラへの継続的な投資によって、将来的な気候変動の影響にも耐えうる新たな水供給源が確保され、水の安全保障に向けた長期的な見通しが良好になった」という。オーストラリア水道サービス協会(WSAA)のAdam Lovell会長は、「都市水道事業の報告書では2009~2010年において、平均的にみて水道料金の請求額が増加したことが示された。これは水の使用量の増加、そして産業界による設備投資の顕著な増加および操業コストの増加が反映されたものだ」と語っている。

一方、地方では、水の輸送効率を上げ、ロスを削減することができる開水路ネットワークの普及が主に進んでおり、水インフラは転換期にあることが報告書により示された。「インフラをリニューアルするための投資の多くは、Water for the Future計画(予算額129億オーストラリアドル[約1.13兆円])の下で実施される持続可能な地方インフラプログラム(予算額58億オーストラリアドル[約5085億円])の一環としてオーストラリア政府より支援されている」とFarrell氏は述べている。

上述した2つの報告書のうちのひとつ、都市水道事業に関する報告書National Performance Report 2009-2010: urban water utilities reportには、約1830万人に水道水を供給している79の事業者より得られた情報が含まれている。同レポートは、国家水委員会、全ての州および準州政府、そしてWSAAにより作成された。また、もうひとつの報告書である地方の水道事業者に関する報告書National Performance Report 2009-2010: rural water service providersは、同委員会が政府と共同で作成したもので、オーストラリア農村部における水供給網の90%を占める13の水道事業者に関する情報をカバーしている。

両レポートは下記のURLで閲覧可能である。
http://www.nwc.gov.au/www/html/3033-improving-australias-water-utility-performance.asp?intSiteID=1