ドバイ電力水道公社、5件で総額10億ドルの新規発注

ドバイ電力水道公社(DEWA)はこのほど、急増する需要に対応するため、電力と水のプロジェクトを5件、新たに発注した。これについてDEWAのSaeed Mohammed Al Tayer総裁兼CEOは、ドバイで開催中の水・エネルギー・環境展(Wetex)の会場でおこなわれた5件の契約の調印式で講演し、同公社は発展へ向けての前進に必要な電力と水に関するあらゆる要求を満たすことのできる信頼性の高いインフラの整備をめざしていると語った。

「われわれはきょうここで、総額10億ドル(約810億円)におよぶ電力と水の5件の新規大規模プロジェクトの契約に署名する」とAl Tayer総裁兼CEOは述べ、その上で、プロジェクトを契約書にあるスケジュールどおりに実施し、期限までにサービスを開始することの重要性を強調した。

1件目の契約は、インドのPratibha Industries Ltdが獲得したAl Ghafat貯水池の第1期および第2期工事を中心とするプロジェクトで、貯水量は1億2000万英ガロン、費用は2億8500万ディルハム(約62億7000万円)である。

2件目はスペインのApinaが獲得したJabel Aliの発電所の工事で、Apinaはここにガスタービンの入口空気冷却設備を建設する。この設備が完成すると、ガスタービンの効率が改善され、3基のガスタービンの発電容量を約108メガワット増すことができる。

3件目は地元のEmirates Electrical Engineering LLCが獲得した総延長230キロメートルの132 kVケーブルの敷設工事で、契約金額は1億ディルハム(約22億円)である。

Siemens、大口契約を2件獲得:

4件目は、Siemensが獲得した5基の発電ユニットを供給、設置、試験、および運転開始する契約で、これは総額3億7200万ディルハム(約81億8000万円)におよぶ。

Siemensはこのほかに、今回DEWAが発注した5件目の契約として、送電制御センター用のSCADA/EMS/DTSシステムの供給、設置、試験、および運転開始の業務を受注した。契約金額は9700万ディルハム(約21億円)である。

環境を優先:

これらの新規プロジェクトについてAl Tayer総裁兼CEOは、DEWAは環境基準の遵守を優先事項にしており、受注業者に対し、環境基準遵守のために必要なあらゆる便宜をはかるとしている。

Al Tayer総裁兼CEOはまた、つぎのように述べている。「今年(2011年)、われわれはWetex展と同時開催というかたちで、Smartech展をはじめた。これは、エコフレンドリーな製品とサービスに寄与する技術の紹介を通じて企業と顧客のコミュニケーションを深めようという試みだ。この展示会では、エコフレンドリーな設計と材料の使用によってエネルギーと水の節約をめざすグリーン・ビルディングの推進のための特別展示が大きな注目を集めている」

水道と電気の値上げ:

ドバイは最近、石油とガスの価格高騰を理由に、水道料金と電気料金を約15%値上げした。

一般家庭の水道料金は、1ヵ月の使用量6000ガロンまでは現行の1ガロンあたり3フィルスが3.5フィルスに、6001ガロンから1万2000ガロンまでは3.5フィルスが4フィルスに、また、1万2000ガロンを超えた分については現行の1ガロン4フィルスが4.6フィルスにそれぞれ値上げされた。

商工業利用者の水道料金は、1ヵ月の使用量1万ガロンまでは1ガロンあたり3フィルスが3.5フィルスに、1万1ガロンから2万ガロンまでは3.5フィルスが4フィルスに、また2万ガロンを超えた分については4フィルスが4.6フィルスにそれぞれ値上げされた。

同時に、月2000キロワット時(kWh)まではこれまでkWhあたり20フィルスだった電気料金も値上げされた。2001 kWhから4000 kWhまではkWhあたり24フィルスが28フィルスに、4001 kWhから6000 kWhまでは28フィルスが32フィルスに、また6001 kWh以上については33フィルスが38フィルスにそれぞれ値上げされた。(100フィルス=1ディルハム)

UAEの電力需要は年率10%で成長:

インドに本社を置く調査会社RNCOSが最近発表した報告書、Middle East Power Sector Analysis(中東の電力部門の分析)は、中東の電力市場の成長速度は世界でもトップクラスで、「急速な工業化と国民の消費意欲の向上により、アラブ首長国連邦(UAE)の電力需要は2010年から2013年にかけて年平均成長率10%で伸びつづけるだろう」と分析している。

Wetex展での講演でDEWAのAl Tayer総裁兼CEOは、サウジアラビア、エジプト、ヨルダン、モロッコ、アメリカ、オーストラリア、イギリス、ドイツ、イタリア、ボスニア、クロアチア、フランス、スイス、ノルウェイ、ポーランド、スペイン、マレーシア、トルコ、中国、台湾、日本、インド、スリランカなどの国ぐにの同展への参加を賞賛した。

これらの国ぐにの企業は、機械類、重機、淡水化設備、近代的な灌漑システムなど、農業分野を中心にすぐれたソリューションや製品の展示をおこなっている。