ベトナム環境当局、環境保護予算の増加を求める

ベトナム環境天然資源省の下部組織である環境総局(VEA:Vietnam Environment Administration)は、2011年6月10日、国会に対して、環境保護のための国家予算を現在の2倍に引き上げるよう要請した。VEAのHoang Duong Tung副局長が語ったところによると、2006年の同国の国家予算全体のうち、環境保護に費やされたのはわずか1%に過ぎず、この比率は、2006年から変化していないという。

Tung副局長によると、ベトナムでは2010年に、6兆5900億ドン(約257億6000万円)が環境保護のために支出されている。これは、2009年度の支出額の約2倍近い値であるが、増え続ける様々な環境問題に対処するのに十分な額にはなっていない。また、この額をGDPと比較すると、約0.4%程度に相当するが、中国や他のアセアン諸国ではGDPの2~3%相当額を環境保全に費やしており、その水準は他国と比較しても高くない。環境天然資源省のPham Khoi Nguyen大臣は、「ベトナムは社会経済の点で大きな発展を遂げており、その経済成長率は7.2%に達している。いっぽうで、経済成長に伴う人口増加や都市化によって、環境保護という課題が出てきている」と語っている。

環境天然資源省が発表した2010年国家環境報告書によると、2006年~2010年の間に達成すべきとして設定された8つの目標のうち、農村部における浄水普及に関する目標ただ1つのみが達成されたという。この目標では、浄水にアクセスできる農村部住民の割合を75%に上げることが設定されており、結果的に、その割合は79%まで引き上げられた。一方、工業加工区への標準化された廃水処理システム普及率100%という目標は、もっとも達成状況が悪く、2009年の普及率は60%にとどまる結果となったという。

このような状況を踏まえ、環境総局は、環境や天然資源の保護のための投資が増加するような政策策定を提案している。