世界銀行、インドのガンジス川浄化にむけて、1億ドルを拠出

インド政府は、2011年6月14日、ガンジス川浄化プログラムのために、10億ドル(約800億円)を借り入れることで世界銀行と合意し、署名を行った。ガンジス川流域における水資源は、同国全土における水資源量の4分の1を占め、河川流域にすむ人口は4億人を超える。このたび合意された世銀の融資によって、同国では、ガンジス川流域庁(NGRBA:National Ganga River Basin Authority)が実施する様々な浄化・保全プロジェクトが支援されることになる。NGRBAは、ガンジス川の浄化のために2009年2月に設立された組織であり、同国では“2020年までに、未処理の生活排水および工業排水がガンジス川に流入する状況をなくす”との中期的目標が掲げられている。しかし、現在のところ、処理された形で同河川に流入される生活排水の量は総量のわずか3分の1程度にとどまっており、大量の生活排水および産業排水が、未処理あるいは適切な処理がなされない状態で、ガンジス川に垂れ流されている。

世銀の融資に基づく浄化プログラムは、(1)廃水の収集・処理、(2)工業活動による汚染の管理、(3)固体廃棄物管理、(4)河岸地域管理の4分野に重点を置いて実施される。NGRBAは、連邦および州レベルの専門組織を設置あるいは能力強化し、プログラムの立案や実施にあたらせるとともに、ガンジス川ナレッジセンター(Ganga Knowledge Center)を設立する。また、中央公害管理委員会(CPCB)および州公害管理委員会(SPCB)は、近代的な情報システムを導入するとともに、より良い水質モニタリングの実施に向けて、スタッフのトレーニングを行う。さらに、市レベルにて廃水処理プラントを運営するサービス・プロバイダーの能力開発のためにも、資金が投じられる予定である。