サウジアラビアが今後の水戦略について言及――地下水利用の民営化を示唆

湾岸諸国が参加する環境フォーラムで2011年5月31日、サウジアラビア水電力省のMohammed Al-Asud副大臣は次のように述べた。「水はアラブ諸国が発展していくうえで最も大きな制約要因であり、サウジアラビアにおいても最大の課題である。しかも人口増加や気候変動によってその制約は増す一方である。水問題への戦略的課題は需給マネジメント、環境保全そして水ガバナンスと様々であるが、そのうちのひとつにバーチャルウォーター(仮想水)を利用した生産最適化がある」。バーチャルウォーターとは、作物や製品が生産される際に使用された水量の貿易収支のことである。例えば、水資源が豊富な国から農作物を輸入することにより、輸入国側での水使用を抑え、水資源を節約することができる。

また副大臣は、同国での地下水利用の民営化の必要性を指摘した。「もし地下水利用が民営化されれば、農業従事者は水利用に対して料金を支払う必要が生じるだろう。サウジアラビアでは82%もの水が農業で使用されており、彼らが地下水利用に料金を払うことになれば、サウジアラビアの農業が変化することは間違いない」としたうえで、より効率的に水を使用するため、高付加価値作物の生産により注力していくべきであると述べた。

ナショナル・ウォーター社のAl-Musallam CEOは、「サウジアラビアではその水需要を2025年には賄うことができなくなり、再生水の利用が欠かせなくなる。しかしながら、2009年までに同国全体の6%に当たるたったの30万m3しかリサイクルされていない。再生水の利用は商業的にも可能であり、環境面からしても有益である。過去2年間で再生水の需要は25%増加し、合計50万m3の家庭排水が売買されており、我々は今後10年間で500万m3に達すると見込んでいる。家庭廃水はそれが水源であるというだけでなく、そこに溶解している金属や化学品を抽出し、工業および農業で利用可能であるため、価値のある資源である」と語っている。UNDPのRiyad Al-Ahmed地域担当ディレクターは、水は商品であり、重要な経済資源として捉えなければならないと語っている。

サウジアラビアの水道の漏水率は20%であり、そのうち大部分は各家庭への引き込みのための給水管からの漏れである。一日あたりの漏水量は6700万m3であり、それは海水淡水化プラント9つ分の水量に相当する。同国は、今後6年間でその数値を5%まで減らすべく努力する意向を持っている。同会議に参加していた専門家のうち2名は、非公式ではあるが、特にリヤドやジッダなどの都市の漏水率をそれよりもかなり高く見積もっていた。

また、水の市場価格を課すことが遅れるのではないかという参加者からの質問に対しては、「まもなく実施される。水道の価格設定はいまだかつてなく高まっている水需要を制御する唯一の方策である。ただし、サービスの質は良いものでなければならない」との回答が得られている。