米連邦取引委員会、水道管用継手サプライヤーを不公正取引で提訴

アメリカの連邦取引委員会(FTC)はこのほど、上下水道に使われているダクタイル鋳鉄管用の継手の最大手サプライヤー3社――McWane, Inc.、Star Pipe Products, Ltd.、およびSigma Corporation――を、不公正取引のかどで提訴した。FTCによると、これら3社は不正な価格協定によって継手の価格を高値に維持したとされる。さらにMcWaneは、アメリカ製継手の市場における独占的な地位を不正な手段で維持したとされている。

このうち、SigmaはFTCとの和解に応じ、今後は反競争行為をおこなわないことに同意した。McWaneとStarについては、行政法審判官のもとでの審判が予定されている。

これについてFTCのRichard Feinstein競争局長は次のように述べている。「今回の提訴は、アメリカの水インフラに不可欠なダクタイル鋳鉄管用継手の価格を吊り上げるための、談合による広範な排他的工作を対象にしている。FTCは、財政が逼迫した自治体や、そのサービスを受ける消費者を、反競争行為から積極的に守っていく所存だ」

寡占状態の業界事情:

ダクタイル鋳鉄管用継手(DIPF)は、公共上下水道の管路でパイプの直径が変わるところや屈曲部に使われており、McWane、Star、Sigmaなどのサプライヤーが専門の卸売業者を通して販売している。これらのサプライヤーが販売するDIPFのうち、輸入品は、McWaneも、DIPF市場におけるその最大のライバルであるSigmaおよびStarも扱っている。アメリカ製のものについては、2009年にStarがアメリカ製DIPFの市場に参入するまでは、McWaneが小型および中型のDIPFをすべて取り揃えた唯一の国内メーカーだった。

FTCによる提訴の仕組み:

FTCは、法律違反があると「信じるに足る理由」があり、提訴が公益にかなうと考えられる場合に訴状を提出する。提訴そのものは、被告が法律に違反したことを認定するものでもなく、またそのような裁定をくだすものでもない。

今回のSigmaのように和解に応じた被告に対しては、FTCは同意命令を出す。これはもっぱら和解を目的とするものであって、同意命令を受け入れたからといってそれがただちに法律違反を認めたということにはならない。FTCが最終的なものとして同意命令を出すと、以後、それは法的効力をもつものとなる。このような最終同意命令に対する違反者には、1万6000ドル(約120万円)以下の制裁金が科せられることがある。

FTCの競争局は、経済局と協力して、申し立てのあった反競争商行為について捜査し、提訴などが適当であると判断した場合は委員会に対して法的措置を提言する。個別の商行為についての競争局への情報提供は、文書のほか、電話やeメールでも受け付けている。