アメリカ環境保護庁(EPA)は2012年4月11日、ニューヨーク州東部のレンセリア郡にあるDewey Loeffel埋立処分場スーパーファンド・サイトの汚染地下水と浸出液を、General Electric Company(GE)とSI Group, Inc.(旧名:Schenectady Chemical)が回収して適正に処分することで、両社と合意に達したことを明らかにした。このスーパーファンド・サイトは、近くの何本かの飲料水用井戸を汚染の脅威にさらしている。埋立処分場からの浸出液と地下水は、発癌性のおそれのある揮発性有機化合物(VOC)で汚染されている。こうした汚染物質が人の健康にどのような影響をどの程度およぼす可能性があるのかは、汚染物質の濃度や曝露の期間など、多くの要因によって異なる。
EPAは現在、このサイトの汚染された浸出液を回収し、サイト外で処分するために搬出しているところである。今回の合意にしたがって、GEとSI GroupがEPAの監督のもと、この回収と搬出を引き継ぐとともに、埋立処分場の隣接地に処理プラントを建設する。処理プラントが完成するまでは、サイト外への搬出は続行される。新設される処理プラントからの処理水は地表水に排出されるが、それには、処理システムが有効に機能して州の厳格な排水基準を満たせることをEPAがサンプル・データによって検証することが前提となっている。なお、GEとSI GroupはEPAに対する費用の一部弁済をおこなうことに同意しており、まずは前金として80万ドル(約6400万円)を支払うことになっている。
処理プラントをサイトに建設することで、汚染物質のトラック輸送への懸念も払拭:
今回の合意についてEPAのJudith A. Enck第2地方管区長はこう述べている。「EPAは、汚染された地下水と浸出液をサイトで処理することが、EPAによるサイトの調査を続行しながら周辺住民の飲料水井戸を保護する効果的な方法だと判断した。埋立処分場の近くに建設される処理プラントは、浸出液をサイト外で処分するために何百回となく行き来しているトラックの影響を緩和してくれるだろう」
建設される処理プラントは、汚染された地下水や浸出液の潜在的脅威ばかりでなく、浸出液をサイト外にトラック輸送することにまつわる地域住民の懸念をも解消してくれる。このスーパーファンド・サイトの汚染された地下水、地表水、および沈殿物の恒久的な浄化方法――すなわち修復措置と言われているもの――を決めるための総合的な長期調査が、現在おこなわれているところである。恒久的な浄化計画では、浸出水の回収と地下水の汲み上げの方法、および処理システムに変更が加わる可能性がある。
現在までの経緯:
Dewey Loeffel埋立処分場は、レンセリア郡南部のナッソーという村の北東約4マイルに位置する。1952年から1968年にかけて、この場所は州都オールバニとその周辺のいくつかの企業から排出された推定4万6000トンの廃棄物の処分場として使われた。廃棄物のなかには、工業溶剤、廃油、ポリ塩化ビフェニル(PCB)類、スクラップ材、スラッジなども含まれていた。この埋立処分場から、揮発性有機化合物その他の有害物質が浸み出し、地下水を汚染した。PCB類は下流にも移動し、近くのナッソー湖の沈殿物と数種の魚介類を汚染した。
1980年から、2011年5月にここが連邦スーパーファンド・サイトのリストに登録されるまでのあいだ、ニューヨーク州環境保護局のスーパーファンド・プログラムのもとで数多くの現地調査と浄化が実施された。2011年秋から、すでに州が設置していた地下水と浸出液の回収システムの運転が、EPAの責任においてなされることとなった。