水資源管理のための国際基準の策定に向けた意見公募が開始

2012年3月12日から17日にかけてフランスのマルセイユで開催された第6回世界水フォーラムにおいて、事業者団体、NGO、および政府機関の代表らによって構成される水管理同盟(AWS:Alliance for Water Stewardship)が、増大する国際的な水資源への負荷を軽減することを目的とした基準の策定を計画していることが明らかになった。このAWS国際水管理基準(AWS International Water Stewardship Standard)は、水を使用するすべての規模の事業体が取得し、地球上のすべての水の存在形態に対して適用することができる。

AWS規準は、特定のサイトや流域レベルで、環境、社会、経済的に持続可能な方法で水資源が管理されていることを保証するための原則、評価手順、基準(より詳細な取り組み)、そして指標(具体的な数値)で構成される。基準は、それぞれの評価手順について、4つの原則の観点から定められたマトリックス状になっている。原則とは、水管理のための広範にわたる一般的な概念を示すものであり、それ自体が監査を受けることはないが、それらは12ある評価手順にまたがる概念であり、それらの評価基準が様々な指標によって検証される。水管理のための4つの原則は以下のとおり。

  1. ウォーター・ガバナンス:事業体の水に関する側面を統治。事業体は、誰が、どのように、どの決定を下したのかについてステークホルダーに対する説明責任を果たすためのメカニズムを構築する。
  2. ウォーター・バランス:流域ごとの平均降水量、蒸発散量、地表水の排水量の違いに基づいて、水供給量を決定する。
  3. 水質:水質がその地域で定められた許容範囲内であるかどうかなど、物理、化学、生物学的な水の性質を管理する。
  4. 重要な水域:文化的、精神的、レジャー的側面、経済的、生物多様性など、その地域にとって欠かせない生態系サービスを供給している水域を特定する。

AWS基準は、世界水円卓会議と呼ばれる複数のステークホルダーが関わるプロセスを経ながら修正されていく。同会議は、国際基準策定委員会(ISDC)の15の会員や、8つの地域の3つのステークホルダーグループ(水サービス事業者、市民団体、公共セクター)の代表を含むすべての利害関係者が参加することができる。AWSは円卓会議を通じて、環境認定表示連合(ISEAL)の社会・環境基準を設定するための適正実施規範に沿って、公平かつ透明性のある基準策定を行う。今後、2012年6月15日まで同案の意見募集が行われ、2012年秋までに最初の導入試験が実施される。その後、2012年末に第2次案が意見募集のために公開され、2013年中頃に最終決定される予定である。

URL:AWS国際水管理基準案
http://www.allianceforwaterstewardship.org/what-we-do.html