中国国務院弁公庁は、「海水淡水化産業発展推進に関する意見」(以下「意見」)を2012年2月6日付けて公表した。
同「意見」は、中国国内の沿海地域や島嶼地域の水不足の緩和、中西部地域の弱塩水・微塩水の淡水化および利用の促進、ならびに水資源の持続的な利用、に海水淡水化産業の発展が資するとして、その推進を図る目的で策定された。「意見」では、発展目標として2015年までに達成を目指す具体的な造水量などを掲げ、発展目標達成のために今後重点を置く取り組みとして、技術/設備に対する研究開発の強化、海水淡水化モデル事業実施やモデル都市建設など7項目を挙げている。
[発展目標]
- 2015年までに全国の海水淡水化による造水能力を1日当たり220万m3~260万m3までに拡大させる
- 島嶼地域に対し新たに増やす供給量の50%以上、沿海部で淡水が不足している地域に対し新たに増やす工業用水供給量の15%以上を造水により賄う
- 海水淡水化事業に要する原材料、設備の国産比率を70%以上に向上させる
- 比較的整備された海水淡水化に係るサプライチェーンを構築し、技術/設備/材料に対するR&D能力、製造能力の世界先進レベルへの到達を目指す
[重点取組]
- 技術/設備に対する研究開発の強化
- エンジニアリング関連技術能力の向上
- 海水淡水化関連産業基地の育成
- 海水淡水化産業連盟の設立
- 海水淡水化モデル事業の実施
- 海水淡水化モデル都市の建設
- 海水淡水化による生産水の利用促進
今後重点を置く取り組みとして掲げられた“技術/設備に対する研究開発の強化”では、研究開発を強化すべき技術として、膜処理法などによる海水淡水化技術、大型の海水循環冷却技術などが挙げられた。また、逆浸透膜モジュール、高圧ポンプなど重要設備機器および海水淡水化に係る基幹部品に関しても研究開発を強化し、太陽エネルギーなどの再生可能エネルギーを利用した海水淡水化関連技術の研究開発も積極的に実施するとした。
また、2015年までに、1日当たり5万m3から10万m3淡水生産能力を持つ国家レベルの海水淡水化大型モデル事業2件、1日当たり数万m3規模の淡水生産能力を持つモデル事業20件、濃縮塩水(ブライン)総合利用モデル事業5件を、それぞれ実施・完成させるとし、海水淡水化モデル都市を2015年までに20カ所建設するとしている。
“海水淡水化による生産水の利用促進”の項では、沿海部で水資源が不足している地域、または地下水を過剰に摂取している地域において、水消費量の多い工業プロジェクトを実施する際には、海水淡水化による生産水を優先的にボイラー給水などの水源として利用すべきといったことが挙げられた。