第6回世界水フォーラムが2012年3月12日から17日にかけて、フランスのマルセイユで開催された。同会議では、中国政府関係者が2020年までに中国は水関連プロジェクトに約6400億ドル(約51兆円)を投じるとの見通しを明かした。
第6回世界水フォーラムにおいて中国水利部の陳雷水利部長は、中国ほど多くの水関連の課題を抱える国はないと語っている。13億人の中国国民は、水資源へのアクセスの悪さ、水質汚染、水供給の不均衡、および洪水や干ばつといった自然災害など、様々な水問題に直面している。
報道筋に対し陳水利部長は、水関連プロジェクトの資金のほとんどは政府が投じるものであるが、中には外国人投資家に開かれたプロジェクトもあると語っている。プロジェクトは汚染の著しい河川および湖に対処するもので、環境上脆弱な地域における生態系回復を目指す。陳水利部長は更に、2015年までの完了を目指し、農村部における水の供給事業建設を推進するとの見通しも明かしている。中国では、約3分の2の都市で水不足に陥っており、約3億人の農村居住者が安全な水にアクセスできていない。会議開催に際し中国国内メディアが3月14日に行ったインタビューにおいて、陳水利部長は「水問題は人類の存続と発展、および全ての国の人々の福祉に影響を及ぼすものだ」 と語っている。
陳水利部長によれば、中国は他国や地域間での協力を望むと同時にその準備も整えており、協力関係の深化と密なやり取りを促し、適切な解決策を打ち出すと共に、経済および社会の持続可能な発展への貢献を目指す。
3月13日のフォーラムでは中国、韓国、および日本が協定を結び、水資源管理および水に係る自然災害への対処に関し、3か国の間で連携を強めるとした。また、14日には中国とEUとの間で共同声明が交わされ、水問題に関し協働を進めるといった方向性が示された。この共同声明により設立されたプラットフォーム(CEWP:China-Europe Water Platform)の下に実施されるイニシアティブでは、両国から資金が拠出され、政策対話、共同研究やプロジェクトがなされるという。このプロジェクトには、政府系機関、河川流域の管理に携わる部局、研究機関、NGO、民間セクターが参画することになるとみられている。