GE、熱を利用しないブライン濃縮装置AquaSelの実証実験を実施―99%強の水回収率を達成

General Electric(GE)は2012年7月2日、実質的に水のロスをなくすことができる画期的な水処理技術の実証実験に成功したことを発表した。GEのAquaSelと呼ばれる熱を利用しないブライン濃縮装置(NTBC:Non-thermal brine concentrator)は、廃液を極限まで少なくし、水の費用を抑えることができる。また、熱を利用した蒸発システムを用いないため、それに伴うエネルギーコストも削減するこができる。今日普及している技術では、飲料メーカーがボトルウォーターやその他の様々なソフトドリンクに用いることができるのは、処理前の水のうち75%から85%程度である。それに対し、GEのAquaSelは、プラント内での水回収率を99%強まで高めることができる。

アジアのコカコーラ・ボトリングは、GEのAquaSelを商業用として初めて2011年12月に導入して以来、3万6000ガロン/日(5.7m3/時)の生産能力で1000時間以上稼働し、ソフトドリンク製造用に用いられる品質の高いRO水処理システムからの水回収率99%を達成した。また、プロセスの副産物として排出された廃液は供給水のわずか1%弱であった。AquaSelシステムの中核は、極性転換方式電気透析装置(EDR)であり、ROから排出されたブラインをさらに濃縮するために用いられる。その後、EDRを通して得られた生産水はROシステムへ戻され、そのブラインは沈殿物が堆積するためのタンクへ送られる。また、タンクの上清はEDRに戻される。

AquaSelシステムは、溶存物質総量(TDS)がかなり高い場合にも応用可能であるが、GEの工学システム製品管理マネージャーであるErik Hanson氏によると、開発当初、食品および飲料業界で用いられる水を想定していたという。その場合、ROからのブラインは2000~4000mg/リットル、25~10ガロン/秒(1.6-6.3リットル/秒)。その時、固形物を脱水するフィルタープレスなどのオプションを含めたエネルギー消費量は、3.8から7.6kWh/キロガロンとなる。Hanson氏はまた、次のように述べている。「我々の有する食品、飲料水市場についての技術的、商業的な知見を活かし、同市場をAquaSel導入のための糸口として捉えている。AquaSelによってアップグレードできる既存のROシステムは数多く存在し、顧客は18ヵ月という資本回収期間を評価している」