ブラジル国家水資源局、都市部の水質問題に関する報告書を発表

2012月6月、ブラジルの約132の都市エリアにある河川や湖から採取されたサンプルの約47%が汚染されているか、深刻に汚染されているとする調査結果を示した報告書が国家水資源局(ANA:Agência Nacional de Águas)によって発行された。ANAはブラジルにおける水質のモニタリングを拡大、統合する必要性から、2010年に国家水質評価プログラム(PNQA)を立ち上げている。

同報告書によると、26%が平均的な水質、残りの27%は良い水質か非常に良い水質であった。いくらかの有機物汚染が見られ、飲料水に推奨されない水が平均的な水質と定義されている。また、有機物汚染がなく、飲用に適しているものが良い水質、そして濁りの原因となる有害な沈殿物がないものを非常に良い水質としている。さらに、水質レベルが9つの指標(溶存酸素レベル、生物化学的酸素要求量、リン、窒素、糞便性大腸菌、残留有機物、pH、濁度、そして水温)を用いて示された。

また、同報告書では、水質汚染の多くが未処理の家庭排水に起因していることが示された。2008年の下水道普及率は47%、排出されたすべての下水に占める処理率は35%であった。下水道設備が最も整っている地域はパラナ(59.8%)、サン・フランシスコ(57.4%)、であり、下水処理率はそれぞれ44%、34.5%と国平均を上回っていた。しかしながら、いまだ多くの地域で下水道は普及しておらず、ブラジル全体の下水処理量(850万m3/日)のうち二次処理が行われているのは53%、リンを取り除くための三次処理が行われているのはわずか10%である。

いっぽう、工業排水の水質は水処理の改善や水質のモニタリングによって向上してきている。環境ライセンスの要件として環境制御が大型産業で実施されるようになったことや、企業の社会・環境的責任が消費者からより多く要求されるようになったことが要因である。

ANAの報告書は下記URLより参照可能。
http://www.ana.gov.br/bibliotecavirtual/arquivos/20120703103232_Surface_freshwater_quality_in_Brazil_outlook.pdf