2012年2月23日に開かれた米国法曹協会(ABA)環境・エネルギー・資源部主催の第30回年次水関係法会議で講演した連邦、州および自治体の水資源当局者によると、気候変動による地球の気温の上昇によって利用できる水の供給量が大幅に少なくなる見込みである。
【連邦内務省水再生利用局(Bureau of Reclamation)の水文学者、Carly Jerla氏】
- 水再生利用局が112の地球規模の気候変動モデルを用いて行った調査では、今後50年間にコロラド川の水流量が年間約140万エーカー・フィート(約17億m3)減る可能性があることが示された。
- 同局は7月にコロラド川流域の水の供給と需要の調査結果を発表する予定であるが、その暫定的な結果では、需要量が供給量に次第に追いつき、あと50年で供給量を上回ると予測されている。
- この調査結果には、水供給・需要問題への対応策として考えられる選択肢が示されることになっている。
【カリフォルニア州水資源局のコンサルタント、Katherine Spanos氏】
- カリフォルニア州水資源局は、今後100年間にシエラネバダ山脈の積雪量が10 %減り、その結果150万エーカー・フィート(約19億m3)の貯水量が失われると予測している。
- カリフォルニア州の海水面は、ここ100年間で7インチ(約18 cm)上昇した。
- 同局は現在、今後100年間に起こると予測されている気候変動への適応問題に重点的に取り組んでいる。
【ニューヨーク市環境保護局の総合弁護士、Robin M. Levine】
- ニューヨーク市環境保護局は、気候変動によって、現在同市に供給されているすべての飲料水の水源であるキャツキル山地とデラウェア川流域の積雪量が減少すると予測している。
- 同局は同時に、気候変動によってより大規模で猛烈な暴風雨が起こり、その結果、大量の土砂が同市に水を供給している貯水池に流入する事態が起こることも予測している。
- これまで同局は、地域住民と協力しながらキャツキル山地から引いている水の質を維持してきたので、水のろ過施設の建設と維持に莫大な費用とエネルギーを投じなくても済んでいた。しかしながら、たとえば、2011年のハリケーン「アイリーン」のような暴風雨の際に貯水池に土砂が堆積した場合、水を供給している流域に対する市の管理が頓挫する可能性がある。