インド、国内水資源の効率化に向けて新たな組織「国家節水局」の設立へ

現在インド政府は、国内の水利用の効率化に向けて「国家節水局(National Bureau of Water Use Efficiency)」の設立を進めており、その中で特に農業用水、工業用水、生活用水の保全のための対策を講じることになるという。国内の水資源の動向について、Vincent Pala水資源担当大臣は次のように述べた。

「総合的な水資源管理に関する国家委員会の試算によると、国内での工業用水の需要は2050年までに810億m3に達すると予測されている。人口増加、急速な産業化および都市化に伴うこのような水需要の増加に対して、水資源の利用の最適化を保証するためにも、製造業における水消費量の監査が必要となるだろう」

水利用の効率化に集中するためにも専門組織の設立が必要であることは、UNESCOが発表した「国連世界水資源開発報告書 第4版(United Nations World Water Development 4)」でも強調されている。また同レポートによると、インドは世界一の地下水汲み上げ国であり、年間2510m3の水を取水しているという

2009年に実施された国内の地下水調査によると、全5842地点のうち約26%に相当する1494地点が、「やや危険」または「危険」または「過剰に取水」に分類された。世界銀行が2010年に出した報告書「Deep Wells and Prudence: Towards Pragmatic Action for Addressing Groundwater Overexploitation in India」によると、もしこのままの状況が続けば、20年以内に国内の全帯水層の60%が危機的な状況に陥ることになるという。