コンサルティング会社Deloitte、サプライヤーも含めた企業活動全体における水資源管理の必要性を主張

NYのコンサルティング会社Deloitteは、2012年12月6日、Five questions on business risks related to water and other critical resourcesと題したレポートを公表し、その中で、企業は、グローバル・バリュー・チェーン全体での水資源の利用を精査し、不確定な水資源の未来に向けて準備を進めるべきであると主張した。自社内だけでなく、サプライヤー全体でどれだけの水資源を使用しているかを分析することで、現在そして将来の水資源の利用が引き起こすリスクを、より明確に理解することができるという。水利用の実態を十分に把握していれば、企業は水利用の効率化、廃水管理の改善、水供給の変化に対応するための準備が可能になるとのことである。

DeloitteのプリンシパルであるChris Park氏は「企業は、自社内の資源リスクに対しては十分に対策を用意し、また、直接のサプライヤーに関するリスクについても把握しているだろう。しかし、サプライヤーのサプライヤー(2次サプライヤー)についてはどうか」と危惧している。この問題に対してPark氏は「ある程度の確実性を持って、水資源の価格およびその入手可能性を予測することは難しいので、企業はサプライチェーン全体を見ることに加え、広範囲に及ぶ未来の水資源シナリオの計画を立てるべきである」と提言している。

顕在化する水危機

食料・飲料品業界から発電や製造業といった工業界に至るまで、水の需要は供給を上回っているため、水資源に依存する企業はますますその争奪戦をせざるを得ない状況である。その結果、水不足やその他水関連の問題による悪影響を受けている。

国際NPOのカーボン・ディスクロージャ・プロジェクト(CDP)が2012年10月23日に公表した、水問題への企業の取組に関する報告書「The Global Water Report 2012」――これもDeloitteが作成したものであるが――の中でも、調査した過半数の企業が、最近5年間で水不足、洪水、排水基準遵守のためのコスト増加、規制の不確実性、現地の水質の悪さなどの点で被害を受けたことが報告されている。しかしながら、これらの企業が、取締役レベルで水問題の管理を強化したということは報告されていない。

企業のトップレベルでの水問題への取り組み

DeloitteのWilliam Sarni ディレクターによると、取締役レベルにおいて水問題に注意を向けるためには、彼らのビジネスに何らかの影響がなければならないという。今回の報告書では、水不足に伴い、事業運営、規制対応、そして風評的なリスクに企業は直面すると記されている。Sarni氏は「企業ブランドまたは実際の事業運営への影響であろうと、水問題の潜在的な影響が、企業に経済的な影響を与えるものに変われば、そのリスクへの認識が高まるだろう。その金額により、企業内の水関連戦略への考えや行動は改善される」と述べている。その他、Deloitteのレポートでは、企業に対して、資源リスクおよび持続可能な方策について株主へもっと透明性を出すことも求めている。