米国のWaterless Co.によれば、同国の水不足は、政府監査院(GAO)が予測したよりさらに切迫していることが分かっている。2003年にGAOは、2013年までに少なくとも36州が水不足に直面すると警告した報告書を発表した。しかし、WaterlessCo.によれば、カリフォルニア州、ニューメキシコ州、アリゾナ州をはじめとして少なくとも36州では、2008年までにすでに慢性的ではないが断続的な水不足が起こっていて、州政府はその対応に取り組んでいるという。
Waterless Co.は、水を必要としない男性用小便器システムなどのトイレ関係製品を作っている会社である。
Waterless Co.のReichardt最高経営責任者による2013年の水問題に関する予測
同社の最高経営責任者で創立者であるKlaus Reichardt氏は、水不足及びそれに関連した水に対する懸念は、2013年に最重要の問題となりそうであると予測している。
同氏は、2013年の水問題に関して次のように予測している。
- ミシガン湖とヒューロン湖の水系は、これまでで最も低い水位になるという大きな危険にさらされ、これにより周辺地域のライフスタイルと多くの産業が影響を受ける。
- (水輸送のための)電気、化学処理、およびインフラの改善に掛かる費用が増加するため、米国の上下水道の料金はほとんどの地域で引き続き上昇する。
- 干ばつ、非効率な水資源の使用、水源への化学物質の流入、かつ/または水道水への塩水の侵入のために、世界各地で水の供給量が低下する。
- 世界の多くの地域で水の浄化に対する新たな要求が生じるが、これは水道料金の引き上げにつながる。
- これまで以上に多くの市民団体が結成され、人々に水を節約し、もっと効率的に使うよう呼びかける。
- 上記の結果として、家庭、会社、そして特に農業や工業において水をより効率的に利用するための方法を模索することが、2013年の「新たな目標」となる。
現在、実際に米国内で起こっている水問題として次の2つが挙げられる。
米国の水需要の減少
ガーディアン誌(The Guardian)のライターで、環境保護団体や投資関係団体などから成る連合組織“Ceres”(日本語名は「環境に責任をもつ経済のための連合」)の水関係の資金供給に関する専門家であるSharlene Leurig氏によれば、米国の大部分で水需要は減少し続けているという。これについてLeurig氏は次のように述べている。「1970年代以降、米国の家庭で使われる水量は全国的に減少し、その減少量は、ケンタッキー州のルーイビルの年間数万ガロン(1万ガロン=約38 m3)から、ラスベガスの年間約10万ガロン(約380 m3)までさまざまである」
このような水需要の減少によって、インフラに掛かった費用を返済するのに大量販売に頼っているシステムでは、財政的問題が起こっていると同氏は指摘している。
干ばつによるミズーリ川の水位の低下
2013年1月初旬、米陸軍工兵隊は、ミズーリ川の水資源について、産業用および家庭用の水として利用許可を出す予定であると述べ、そして同隊は、将来余剰となるであろうミズーリ川の水資源分の利用料金を請求することを検討しているという。
また、この50年間で最悪となる2012年の干ばつが原因で生じた河川水位の低下によって、2013年1月にミズーリ川周辺での商業活動が停止するかもしれないが、これによって何十億ドルにも値する製品の生産が混乱を受けると危惧されている。