デンマーク、下水処理事業への民間企業の参入を促す水市場成長戦略を策定

デンマーク政府は2013年3月12日、水、大気、廃棄物、バイオ等の技術革新を促進するための報告書『水、バイオ、および環境ソリューションのための成長戦略』(以下のリンクにデンマーク語の原文)を発表した。
http://www.evm.dk/publikationer/2013/~/media/oem/pdf/2013/2013-publikationer/12-03-13-vaekstplan-for-vand-bio-og-miljoeloesninger.ashx

デンマーク産業成長省は3月12日、「世界の水技術市場は今後5年間に、年6%以上成長する勢いだ」と述べた。デンマーク企業はすでに、この成長市場で競争に勝てる良い位置につけているという。こうしたなか、水管理、水道インフラ、水浄化といった分野で新しいテクノロジーの開発を加速する目的から、国家成長計画を作成した。デンマーク政府の役割は次のとおりである。

  1. デンマーク企業にとって水の経済的重要性が高まるにつれ、自ら排出した下水を企業が主体的にマネジメントする機会を作っていくことが大事である。デンマーク政府は、民間企業が下水処理に最大限関与できそうな分野を明らかにしてみたい。そのうえで、民間企業が下水処理事業に参入するのを妨げている法的な障害を撤廃していく。
  2. 同時に、大口水需要家となっているデンマーク企業の下水処理料金を引き下げる。最終的には最大6割の引き下げになる余地もある。
  3. 最新の水関連技術実証施設の開発に予算をつける。
  4. デンマークの水ソリューションを世界に普及するための世界市場開拓キャンペーンをグローバルに展開していく。とくに、発展途上国やBRIC(ブラジル、ロシア、インド、中国)諸国と二国間水協力協定を締結していく。
  5. 公共の水データのデジタル化を図るための予算をつける。

水技術の成長戦略は、経営者団体のデンマーク産業連盟や上下水道事業者団体のデンマーク上下水道協会などから歓迎されている。産業連盟のMorten Lober上級環境顧問は、「下水処理料金の引き下げで著しい効果が現れるだろう。大量の水を消費する企業にとって朗報だ」と述べた。水ポンプメーカーGrundfoss社のKim Nohr Skibsted副社長は「多くの政策は障害の除去をめぐるものである。しかし官民パートナーシップも推進する。EU域内の既存の支援策も調整する。どれをとっても軽々しいものではない」と述べた。一方、上下水道協会は成長戦略を歓迎しつつ、「現在、産業界全体で運用している厳しいエネルギー効率要件を、研究開発活動まで課すべきではない」と釘をさした。

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