米オバマ政権、連邦政府による水資源への投資のための原則と実施指針を更新へ

ホワイトハウス環境問題諮問委員会(CEQ)は2013年3月22日、プロジェクトの承認の迅速化、コスト削減、および最大限の経済的利益とコミュニティにとっての便益を伴う水関連インフラ・プロジェクトの支援を目的として、連邦政府による水資源への投資に向けた原則と実施指針(P&G)を更新することを明らかにした。最新版P&Gは、主な水関係プロジェクトを評価し選定している連邦政府機関に対し、より広範な費用と便益――地域社会を将来の暴風雨被害から守ること、配水、航行、洪水防御のような地域の優先事項を支援することなど――を考慮するよう指示している。
最新版P&Gは、最終決定された原則および要求条件と、その原則や要求条件を実施するための省庁間指針(Interagency Guidelines)案で構成されている。「水資源への連邦投資に関する原則と要求条件(Principles and Requirements for Federal Investments in Water Resources)」の最終版では、持続可能な経済開発、公安、環境正義、環境保護など、水関係投資が従うべき包括的な概念が明確に述べられている。いっぽう、省庁間実施指針案には、政府機関が計画、設計、および評価を行う際の手順がまとめられている。

P&G更新の責任機関の変更

1983年に制定された最初のP&Gでは、航行、暴風雨からの回復力、給水、湿地回復、洪水防御に関係するプロジェクトを考慮する場合、経済発展を偏重した評価パラメータを用いていた。このため、地域社会が賛成しているプロジェクトに連邦政府からの支援が必ずしも受けられるとは限らず、かなりの遅延が生じることも多かった、とCEQは述べている。
今回のP&Gの更新は、米陸軍工兵隊に更新を命じる2007年の水資源開発法(Water Resources Development Act of 2007)の要求条件に応じて行われたものである。ただし、更新の責任は、新規則を数多くの連邦政府機関に適用できるようにするために、オバマ政権がCEQへと移行した。
これまで、原則と要求条件は、陸軍工兵隊、水再生利用局、テネシー峡谷開発公社、および天然資源保全局だけに適用されていた。更新された原則は、環境保護庁(EPA)、商務省、内務省、農務省、農務省による業務にも適用されることになった。

更新案への批判

2009年12月に発表されたP&Gの更新案は、環境面、経済面、社会面の考慮のつり合いが取れていない、あるいは対象が広範すぎるなどの批判を受けた。業界、専門家団体、環境保護団体、および州政府からのコメントは、CEQが環境目標と経済的・社会的目標との間の適切なバランスを取っているかどうか、という論点で見解が分かれた。
また、全米研究協議会の委員会が2010年12月に行った検討では、このP&G案は何を望むか、原則がどのように達成されるのかをはっきりと説明しておらず、さまざまな連邦政府機関が後押しする多種多様な水関係プロジェクト計画に対するP&G案の適応を可能にする詳細のようなものもない、といった指摘がなされていた。

なお、省庁間実施指針案は、3月27日から5月28日まで、パブリックコメントのため公開されている。

【関連URL】
Principles and Requirements for Federal Investments in Water Resources(最終版):
http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/final_principles_and_requirements_march_2013.pdf
Draft Interagency Guidelines:
http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/draft_interagency_guidelines_march_2013.pdf