全米下水道局協会(NACWA)、アメリカ水環境研究基金(WERF)、およびアメリカ水環境連盟(WEF)の3団体はこのほど、下水道ユーティリティがコミュニティではたすべき環境、経済、および社会面での役割について未来像を描いた報告書を共同で公表した。これら3団体によれば、The Water Resources Utility of the Future: A Blueprint for Action(未来の水資源ユーティリティ:行動のための青写真)と題するこの報告書は、これまでの下水道ユーティリティのイメージと経営のしかたをがらりと変える内容を含んでいる。
この報告書はまた、従来の公営下水処理事業がどのようにして下水処理の中核技術を身につけてきたのか、そして現在、自らを資源回収事業者として、また、コミュニティになくてはならない事業体としてどのように見直しつつあるのかについても解明を試みている。
UOTF――未来のユーティリティ――がめざすもの
今回の報告書について、NACWAのKen Kirk事務局長はこう述べている。「この『青写真』は、廃棄物の最小化と資源の最大化、利用者の保護、コミュニティの改善、それにイノベーションの受容を、これまでにないまったく新しい仕方で実現する持続可能な未来があることをわれわれに気づかせてくれる。また、未来のユーティリティ(UOTF:Utility of the Future)にまつわる諸問題に第113議会が正面から取り組み、第2次オバマ政権が環境課題の優先順位付けをするのにも役に立つだろう」
また、WEFのJeff Eger事務局長はこう述べている。「今日の下水道ユーティリティは水を再生利用し、栄養分を抽出して肥料などに商業利用し、ユーティリティ自体がより効率のよいエネルギー・ユーザーと再生可能エネルギーの生産者を兼ね、雨水を管理して生活の質を高めるためにグリーン・インフラを利用するようになっている。こうしたことは、繁栄する持続可能なコミュニティにとって不可欠だ」
3団体がそれぞれに活用できる「青写真」
NACWA、WERF、およびWEFの3団体は、この「青写真」を活用し、それぞれが専門とする分野での優先事項――各方面への働きかけ、技術アドバイス、アウトリーチや公報、科学的研究、データ収集、メディア対応など――を進めていく。
しかし、3団体は今後も、共通の目的のためには可能なかぎり協力していくことにしている。さらに、廃水処理にかかわるすべての事業者が、この「青写真」に描かれた目標を掲げ、それをめざした運動に参加することが望まれている。
WERFのGlenn Reinhardt事務局長はこう言う。「各地の下水道局は、未曾有の難題とその難題に対処する新たなチャンスとの両方に直面している。この『青写真』は、進化するユーティリティについて、また、われわれがどこに行くべきかについて、議論を進めるのに役立つだろう」
本報告書は以下のURLから閲覧可能である。
http://www.nacwa.org/images/stories/public/2013-01-31waterresourcesutilityofthefuture-final.pdf