IFCによる中国の水企業への投資

国際金融公社(IFC)は、中国の水企業への投資をこれまでも拡大してきたが、今後も、それら企業が中国内外でビジネスを展開していく上での資金面でのサポートをつづけていくことになる。これは、IFCが中国の水ビジネスに信頼を寄せていることのあらわれでもある。

光大国際への7000万ドルの融資

最も新しい動きとしては、IFCが2013年6月5日に北京で公表した中国光大国際有限公司(光大国際)への7000万ドル(約68億円)の融資がある。光大国際は環境ビジネスの大手で、香港証券取引所のメインボードに上場している。

光大国際はIFCからの融資を活用して水ビジネスを拡大し、中国国内に3つの水処理プラントを建設する計画だ。ひとつは、山東省徳州の下水処理プラントで、完成すると1日に15万m3の下水を処理することができる。あとのふたつは、江蘇省江陰の先進的な水再利用プラントと同省新沂の地下水処理プラントで、前者は1日に2万m3の水をリサイクルし、後者は3000万人に飲料水を供給することになる。

これについて光大国際の陳小平(Chen Xiaoping)CEOはこう述べている。「IFCの、単に融資ばかりでなく水ビジネスに関する世界的なネットワークが、われわれがサプライ・チェーン全体にわたってビジネスを展開していくのに役立つだろう」
光大国際がこれまでに中国国内で出資して建設し、現在稼働させているプロジェクトには、水関連が24件、廃棄物のエネルギー利用が22件、有害固形廃棄物の埋立処分が6件、代替エネルギー関連が18件ある。

IFCによる水プロジェクトへの投資

IFCのCai Jinyong副総裁兼CEOはこう述べている。「世界中でおよそ8億人がきれいな水にアクセスできない状況にあって、IFCは中国およびその他の国々の水の安全保障の改善に貢献している」
世界銀行グループの一機関であるIFCは、融資対象を民間部門に絞ったものとしては世界最大の開発金融機関である。2012会計年度のIFCの融資額は200億ドル(約2兆円)を超え、過去最高額を記録した。

IFCは中国で、4件の水プロジェクトに融資をしてきた。桑徳国際有限公司と鵬鷂集団のふたつの下水処理プラント、連合水務有限公司の上水道プロジェクト、およびノルウェーのAqualyng Holding ASが中国で建設している淡水化プラントである。

IFCのSun Haoシニア投資事務官は、IFCは融資先の中国の水企業が東南アジアや中東などの地域に事業を展開するのを支援しているとし、次のように述べている。

「われわれは、光大国際に買収・合併用のさらなる資金を融資することを検討するつもりだ。中国の水市場は大きな可能性を秘めているものの、きわめて細分化されている」

プライベート・エクイティも水ビジネスへ投資

中国や東南アジアの水企業には、最近になって民間投資会社からも大きな投資がいくつかなされている。世界有数のプライベート・エクイティ、KKR & Co LPは2013年1月、シンガポールに本社を置くUnited Envirotech Ltdに4000万ドル(約39億円)の追加的エクイティ投資をおこなった。この投資は既存の水処理プラントの買収やグレードアップ、それにUnited Envirotechの運転資本に使われる。