中国・環境保護部(MEP)は、工業汚染地における土壌汚染および地下水汚染修復に向けた研究開発と産業発展の推進を目的とした、「国家環境保護工業汚染地場および地下水修復工程技術センター」(以下、工程技術センター)の設立を決めた。2013年6月9日、中国節能環保集団公司を担当とする「工程技術センター」の設立に向けたフィジビリティスタディ論証会が開かれ、専門家チームによる審査を通過した。
審査に当たった専門家チームは次のような講評を述べている。「中国節能環保集団公司は、工程技術センターの設立に相応しい基礎条件と専門能力を有している。また、工程技術センターの主要任務および研究開発の方向性は、同分野における今後の発展トレンドとも合致している。さらにその建設目標と発展構想は、環境管理に対する需要と産業発展の方向性に一致している」
工程技術センターの概要
中国節能環保集団公司とは、中国国内で唯一の省エネ、汚染物排出削減および環境保全を主要業務とする中央企業*である。今回の工程技術センターは、工業汚染地における土壌および地下水を対象とし、国際的にも最先端レベルとなる技術センターの構築を最終目標としている。
工程技術センターは、工業汚染地の土壌および地下水の修復に向けた設備発展、技術イノベーション、産業化促進、技術コンサルティングおよびサービス業務などを行う予定である。さらに、技術的サポートとサービスの提供、国内外の交流・提携、専門技術やマネジメント能力を有する人材の育成についても、その業務内容に含まれることとなる。
環境保護部の期待
論証会に出席した環境保護部・科技標準司の劉志全副司長は「工程技術センターは、国家の重大科学技術成果の産業化、蓄積、人材育成、科学技術面の交流・提携のための重要拠点となる。また、環境保全分野における科学技術イノベーションおよび科学技術開発の基礎プラットフォームとして重要な役割を果たすものでもある。工程技術センターの設立は、環境管理において有益な技術サポートを提供し、国内関連産業の発展を促進することになるだろう」と期待を語った。
さらに劉志全副司長は、工程技術センターの今後の発展に対して、以下の4つの要求項目を示している。
- 工業汚染地における土壌および地下水の環境管理システムの開発、構築
- 様々な土壌および地下水修復技術を用いたパイロット事業を実施し、その実用化および政府に対する技術的サポートの提供
- 重金属汚染、有機物汚染および複合汚染に対して有効な主要技術および設備の研究開発
- 工業汚染地での土壌および地下水汚染の抑制・浄化産業の良好な発展に向けた、サービスの提供
* 中央政府が直接監督管理にあたる国有企業を指す。その数は2013年には全国で115社にのぼる。