韓国市民ネットワークが、K-Waterのずさんな水関連プロジェクトの運営管理に懸念を表明――タイではK-Waterの工事を監視するための3者委員会設置を提言

実績の乏しいK-Waterによる環境汚染と住民の反対

韓国市民ネットワークである韓国環境活動連盟のHyung Cheol Yum部長は、タイ環境ジャーナリスト協会(TSEJ)が2013年6月下旬に開催した「韓国とタイの環境ネットワークが水管理に関して習得した教訓」と題するセミナーで講演し、「韓国水資源公社(別称、K-Water)は韓国内の4つの主要河川流域で問題を引き起こした。すなわち、国の資金の運用、環境影響評価、そして地方の遺産や河川への悪影響などの面で法を無視した行為を行なってきたことが判明している」と語った。
実際、K-Waterは、4つの河川で建設したダムが地方政府のアセスメントも受けずに建設されたことや周辺の自然環境に被害を及ぼしたことが発覚したことから、現在、韓国国家監査検察局による精査を受けているところであるという。

その一方で、タイのChao Phraya河川流域の建設工事がK-Waterによって実施されることになっているが、この韓国市民ネットワークによれば、この建設工事を請け負うK-Waterはこのような複合施設を含んだメガプロジェクトを運営した経験がなく、今、タイの地方住民からの激しい反対に直面しているようだという。
上記のYum部長は、洪水抑制エリアが建設される予定のタイ北部にあるこの現場を訪れたことがあるという。この建設工事は、総受注額1600億バーツの2つの水管理プロジェクトを獲得したK-Waterによって行なわれるもので、それには洪水迂回水路の建設が含まれている。

限られた実績でも積極的な海外進出

Yum部長によれば、K-Waterはその多角化戦略を拡大するべく、大型の水関連プロジェクトを含め発電事業での海外プロジェクトの獲得に躍起になっているが、同社は、データを改ざんしたり、適切なアセスメントを受けていない事業を実施したとの理由で告訴されたことがあったという。
同部長は、「K-Waterの不適切な行為は、Shiwa湖、Hantan Riverダム、及び4主要河川復旧(Four Major Rivers Restoration)プロジェクトなどのケースで見られたように、地方の環境にダメージを与え、社会的な混乱を引き起す結果となった。特に4主要河川復旧プロジェクトでは周辺地域に甚大な環境被害をもたらした。たとえば、夏には河川に緑藻が大量発生したり、汚染により大量の魚が死んだりした」と述べている。
一方、韓国国家監査検査局は、K-Waterは韓国内の僅か18kmのGyungin洪水迂回水路の建設と運営の実績しかなかった、と指摘した。
これについてもYum部長は、そのプロジェクトでさえ地方住民から強く反対されていたもので、K-Waterがその工事を請け負ったことに韓国住民の70%以上が反感を抱いていたと語った。

こうしたK-Waterの不適切な行為に鑑みてYum部長は、タイの市民グループと国家機関は3者による委員会(tri-party committee)を設置して、K-Waterによる建設工事が地域の環境や住民に重大な被害や健康への影響を与えないように監視してゆく必要がある、と指摘した。