アメリカ土木学会(ASCE)、アメリカ水道協会(AWWA)、および国境なき技師団USA(EWB-USA)の3団体は、全米技術者週間中の2014年2月21日、アメリカが直面する深刻でますます肥大化しつつある問題――基本的なインフラ需要を満たすのに必要な専門家を雇う余裕のない小規模なコミュニティがあり、そうしたところではじゅうぶんなサービスを享受できないという問題――に手を携えて取り組む新たなプログラムを開始することを明らかにした。
会員らが自発的に時間と専門技術を提供
Community Engineering Corps(コミュニティ・エンジニアリング団)と呼ばれるこの共同プログラムは、そうした小規模コミュニティに工学分野のボランティアの専門家を派遣し、地元と一体になって重要なインフラ需要を満たすためのプロジェクトに取り組み、住民の生活の質の向上に努めることを目的としている。上記3団体の会員らは、工学的サービスにアクセスするための資源をもたないコミュニティを、自発的に時間と専門技術を提供することで支援する。派遣される専門家らのチームは、プロジェクトを州と連邦のあらゆる規制を満たすかたちで遂行するのに必要なシステムと資源にアクセスすることができる。
この共同プログラムについて、EWB-USAの国内プログラムの責任者、Peter Waughはこう述べている。「われわれの活動の場をじゅうぶんなサービスを享受できていないアメリカのコミュニティにひろげることができて、たいへんにうれしい。よりよい世界を建設するという目標に向かうわれわれの能力が、アメリカにおけるふたつの最もすぐれたエンジニアリング団体との協力関係によって強化され、活動が加速される」
コミュニティと若いエンジニアの双方にメリット
ASCEの新会長に選ばれたRandall S. Overプロフェッショナル・エンジニアによれば、Community Engineering Corpsが実施するパイロット・プロジェクトには、ナバホ居留地内の孤立家屋を対象とした衛生設備の整備や、洪水による建物の被害を軽減するためのコミュニティへの支援などが含まれている。Over新会長はさらにこう述べている。「この共同プログラムによって、土木工学の若いエンジニアたちは、経験ゆたかな先輩の指導のもとに現場での実習体験を積むと同時に、このアメリカ国内においてじゅうぶんなサービスを享受できないコミュニティで暮らすひとびとの生活に目に見える変化をもたらす貴重な機会を得ることになる」
AWWAのDavid LaFrance事務局長はつぎのように述べている。「われわれ3団体のそれぞれが持ち寄る経験と専門分野の能力は、この3者の連合体を信じられないほど強固なものにしており、AWWAはその一員であることを光栄に思う。AWWAのビジョンは『よりよい水を通してよりよい世界を』というものであり、われわれはCommunity Engineering Corpsを通して、サービスを提供する各家庭や各コミュニティの生活にこのビジョンを実現することができるのを、うれしく思う」
前出のASCEのOver新会長はまた、つぎのように述べている。「ASCEとその会員らは、国境なき技師団の海外のプロジェクトを長年にわたって支援し、技術面での専門的知見を提供してきた。いま、われわれはAWWAおよびEWB-USAとパートナーを組んでCommunity Engineering Corpsを立ち上げようとしており、これによってわれわれASCEは、会員らのスキルと才能を動員して、このアメリカの国内におけるコミュニティ・ベースのインフラ需要の問題に、これまでとは違った仕方で取り組んでいくことができる」