メキシコの地理・統計局、世界水の日に向けて2012年の統計データ報告書を公表――排水の80%は処理されていないことなどが報告される

メキシコの国家地理・統計局(INEGI)は、3月22日の世界水の日に向けて、水資源や管理に関連する2012年の統計データをまとめた報告書を公表した。掲載されている主なデータは、以下の通り。

地下水

地下水の利用は、農業用が69.3%と一番多く、工業用は5.7%。
地下水の枯渇が経済に与える影響は、GDPの0.2%に相当する294億7800万ペソ(約2293億円)となる。メキシコでは合計653の帯水層が見つかっており、そのうち450は規模の大きなもので、住民の70%の生活用水として、50%の工業用水として、また2百万ヘクタールの灌漑に使用されているが、105の帯水層は供給能力を超えた使用となっている。

汚水

2012年の工業排水量は合計257億9400万m3。
そのうち処理されているのは20%に相当する50億5500万m3で、残りの80%は処理されずに排水されている。これを処理するには646億3200万ペソ(約5038億円)投資が必要となる。

利用可能な水量

地域別に見ると、北東部、メキシコ湾岸北部及び中央部、太平洋岸北部及び南部、ユカタン半島、南部国境付近では人口一人当たりの利用可能な水量は年間3233~2万3017m3と多いが、カリフォルニア半島南部や、北部国境付近から中央部、太平洋岸中央部にかけては、2000m3以下となっている。水量が少ない地域では、2030年の利用可能な水量は、人口一人当たり1000m3もしくはそれ以下になると見積もられている。

エネルギー事情

メキシコでは55.2%が火力発電、17.5%が水力発電、27.3%がその他の発電で、水力発電による2012年の電力供給は313億kW/hとなっている。2012年に発電所で使用した水量は合計1597億m3で、99.7%は地表水からの供給である。

メキシコ国家水資源庁(CONAGUA)のプロジェクト

メキシコでは、水資源管理インフラの建設や整備が進められているが、人口増加に追いついていない。現在建設中の主なプロジェクトは、以下の通り。

ケレタロの送水路II
2011年2月に建設が開始した、全長123kmの送水路で、年間4700万m3の水を確保し、85万人の住民に供給する。

サンルイスポトシ貯水池
5000万m3の水を貯水。サンルイスポトシ付近の1400万人の住民に供給し、地下水使用過多と地盤沈下を改善する。2011年6月現在の進捗度は87.1%。

ハリスコ貯水池
9億1100万m3の水を貯水し、付近一帯の1100万人に供給する。2011年12月現在の進捗度は37.3%。

メキシコ州東部トンネル
メキシコ州からハリスコ州にかけての全長62kmの排水トンネルで、150m3/秒の排水能力を持つ。メキシコシティやメキシコ州の洪水を防ぐ目的で2008年8月に建設が開始され、2014年に終了予定。

その他報告書では、水道がない家庭では、飲料水供給場所から水を運ぶ作業が必要で、この作業に女性の64%の時間が費やされているというデータも報告されている。

2012年統計報告書は、以下のサイトでダウンロード可能(スペイン語表記)。
http://www.inegi.org.mx/inegi/contenidos/espanol/prensa/contenidos/estadisticas/2014/agua0.pdf?s=inegi&c=2906&ep=154
http://www.inegi.org.mx/inegi/contenidos/espanol/prensa/contenidos/estadisticas/2014/agua-e0.pdf?s=inegi&c=2907&ep=155