インド・マハーラーシュトラ州、工業施設や居住用・商業用ビルなどに対する厳格な下水処理基準を提案

2014年2月27日に報じられたところによると、インド・マハーラーシュトラ州公害委員会(MPCB)は、工業施設や居住用・工業用ビルなどに対する厳格かつ統一的な下水処理基準を提案したという。

厳格な排水基準を策定することで水の再利用を促進

MPCBは、処理廃水のリサイクルおよび再利用を促進するとともに州内の廃水処理基準を統一するため、工業施設、居住用・商業用ビル、および市政機関の廃水処理設備に対し、その処理水の「国内の淡水源へ排出する場合の水質基準」への適合を義務づけることを提案した。さらにMPCBは、地下水もしくは地表水の汚染、または土壌汚染がある地域の場合には、より厳しい基準を策定するとしている。この提案に関して、MPCBは市民や市民団体からのメールによる意見募集を2014年3月5日まで行った。

マハーラーシュトラ州では、すべての工業施設および建築面積が2万m2を超える居住用・商業用ビルは、下水処理設備を備えなければならないこととされている。しかし、当局の発表によれば、工業施設においては水の再利用が進んできたものの、居住用ビルなどでは80%近くの処理廃水が再利用されるべき状況にあるという。住民らはこうした下水処理水の再利用に大きな賛同を寄せており、こうした水は水洗トイレやガーデニング等に使用されることとなる。

MPCBによれば、以前の下水処理水の排水基準においては、下水は農業用途に使用されるとの前提に立っていたため、水質の基準値は灌漑用水と同等の基準とされていた。今回はこれを淡水に放出する際の基準にまで引き上げることとなる。

新規排水処理技術の採用を促し水質向上を目指す

当局関係者によれば、MPCBは中央政府である環境森林省の基準よりも厳しい基準を策定するために力を注いできたという。MPCB関係者は下水処理設備に関する現在の技術を用いればこの基準は容易に達成できると指摘した上で、こうした水質の向上は下水処理水のリサイクルの促進につながるだけでなく、農業用に使用する場合や河川または水域に排出する場合にも有益だと述べた。また委員会は、下水を処理するすべての基準を統一する必要があると付け加えた。現在は地域によっては処理した水を配水路を通じて排出しているところもあり、地域の制約や条件によってリサイクル事情は異なっているという。