ブラジルのNGOであるTrata Brasilは、人口2億100万人のブラジル国民の51.7%に相当する1億400万人の国民は、適切な下水管へのアクセスがなく、下水の処理率はわずか38.7%というデータを発表した。また飲料水へのアクセスがない人口は3500万人にのぼるとされている。
その他の主なデータとして、以下が発表されている。
- 2012年の水の消費量は、一人当たり一日167.5リットルで、対2011年比4.9%増加している。水の消費量が少ないのは北東部(131.2リットル)で、多いのは南東部(194.8リットル)である。
- 水インフラ事業で、72万6600人の直接及び間接雇用が創設された。
- 上下水道と汚水処理、排水溝を完全普及させるには、2014-2033年に5080億レアルの投資、うち上下水道の完全普及には3030億レアルの投資が必要である。
- 上下水インフラを完備することで、観光部門で50万の雇用が創設され、GDPが120億レアル上昇すると見積もられる。
- 2012年には約30万人の労働者が下痢を患い、有給扱いによる欠勤日数が合計90万日に達した。合計1兆1120億レアルの給与が、不労働に対して支払われたことになる。下水管へのアクセスがある住民が下痢を患う確率は、アクセスがない住民より19.2%低い。
- 2011年には40万人が下痢により入院しており、うち14万人は5歳以下の幼児で、合計1億4000レアルの治療費を費やしている。主要な100都市では5万5000人が入院し、うち53%は5歳以下の幼児であった。
- 保健省によれば、2013年に胃腸感染症で34万人が入院しており、その治療費は合計1209億レアルに達している。上下水道が100%普及すれば、胃腸感染症患者は7万4000人減少すると見込まれている。
なお、次期大統領候補で、現在僅差で優勢の社会主義政党のシルバ氏は、現ルセフ大統領との討論で、政権をとった場合は、PPPによる投資により上下水インフラ改善を優先すると表明した。シルバ氏は2003-208年の環境大臣時代に、水域の汚染削減の為、汚水処理企業への融資プログラムを立ち上げており、それを強化すると表明している。
※1レアル=44.6円(2014年9月30日時点)