イランのエネルギー副大臣は2014年10月4日、水不足が深刻化している為、規定量以上の水の消費に対する罰金を含む節水措置を強化し、水を海外調達すると発表した。なおイランでは、首都テヘランの水供給緊急対策としてとして約US$1.1億の予算がとられているが、これを、近隣のタジキスタンから水を輸入する費用に充てることが検討されていると9月に報道されている。
イランの水不足は、急激な人口増加や不適切な人口分布、非効率な農業、都市開発の管理不足によるものと専門家は指摘しているが、恒常的な水不足に加えて今年は降雨量が少なく、水不足は特に首都のテヘランで深刻化している。テヘランの水会社Khosrow ErteqaiのCEOは、イラン気象庁は今後3ヶ月の降雨量は通常レベルになると予測しているが、例え今秋降雨量が通常化したとしても、過去2年の旱魃の影響は緩和されないだろうと述べている。また2011-2012年の通常の灌漑シーズンのダムの貯水量は7.6億立方メートルであったが、今シーズンは4.7億立方メートルか4.2億立方メートルまで急落する見込みという点を指摘している。
地下水の利用の増加
現在テヘランの水需要の54%は4つのダム、46%は井戸で賄われているが、イランでは何年にもわたる旱魃の為に地下水の使用が増え、永久または一時枯渇してしまっている地下水域が多い。飲料水の25%は、人口全体の12%を占めるテヘランで消費されており、テヘランの人口一人当たりの水使用量は一日325リットルとなっている。なお米国は庭の芝生への散水や洗車で使用量が多く一日575リットル、欧州は250リットルである。 イラン政府は、首都の節水と、農民への灌漑技術効率化を要請する他、警告に応じず水の浪費を続けている使用者への水供給打ち切り措置を既に始めている。
未処理下水による地下水汚染
また、イランでは飲料水普及率は高いが、下水処理率は極めて低く、処理されていない下水が地下水汚染の原因となっている。そのほかにも、政府は旱魃による害の緩和と同時に、水力発電所や淡水化プラント、水パイプラインへの投資を進めているが、エネルギー大臣は、人口一人当たりへの水供給量は、今後20年で25%減少するだろうと予測している。