仏ANSES、生活用水に残留する非ステロイド性抗炎症薬のリスク評価報告書を公表

フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は2015年7月15日、“人の消費に供される水(EDCH)”に残留するケトプロフェン及びイブプロフェンの人体への影響に関する評価報告書*1(注)を公表し、フランスで認知されているレベルの濃度であれば健康へのリスクはないとの結論を示した。EDCHの原水は地下水や地表水から取水されるが、それらの水源には自然起源あるいは人為起源の様々な化学物質が含まれている可能性がある。保健衛生当局や科学者集団は数年来、特に医薬品の残留物質の問題を注視してきた。

ANSESも2006年以降、EDCH中に含まれる医薬品の残留物質の影響に関する研究に取り組んでおり、2013年には、それらの残留物質に係る健康リスクの評価方法を提案した。ANSESは、EDCHから頻繁に検出される人間用医薬品カルバマゼピンと3種類の動物用医薬品(ダノフロキサシン、タイロシン及びフロルフェニコール)のリスク評価においてこの方法を先行的に用いた上で、今般ケトプロフェンとイブプロフェンのリスク評価にも同じ方法を適用した。

ケトプロフェンとイブプロフェンはいずれも非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であり、ANSESのナンシー水文学研究所(LHN)が2009年に実施した医薬品の残留物質に関する全国調査においてもEDCHの中から検出されている。イブプロフェンはフランスで最も一般的な人間用NSAIDであり、ケトプロフェンは人間用としても動物用としても利用されている。

*1 2015年3月17日のANSESの見解書(非公開)からの抜粋を報告書として取りまとめたもの。