米環境保護庁、廃水排出企業に水関係データの電子報告を義務付ける最終規則を発表

米国環境保護庁(EPA)が2015年9月24日に最終案として発表した、自治体や産業などの施設の水質浄化法(CWA)報告を近代化する規則によれば、廃水を排出するためにCWAの許可を必要とする企業は、この規則に従って、文書で報告書を提出する従来の方法に代えて電子的に報告書を提出しなければならないことになる。この最終規則によって、規制対象の事業体、州や連邦の規制担当者は、国家汚染物質排出削減システム(NPDES)プログラムで義務付けられている水関係データを、今後はすでにあって利用できる情報技術を用いて電子的に報告するよう求められる。

この規則の効果

EPAは、この規則が完全に実行されると、NPDESプログラムを執行する権限がある46州と米領バージン諸島では、報告が文書から電子報告(ER:e-reporting)に切り替わることで、毎年合計で約2260万ドル(約27億円)の出費が減ることになると予測している。また、この規則によって、一般の人々が、NPDES許可で求められている、たとえば、検査や法律執行の歴史や汚染物質モニタリングの結果などのデータなどの、施設特有の情報をEPAのウェブサイトを通じて利用できるようになる。

廃水を排出する事業体の義務

CWAによって、廃水を直接米国水域に排出する自治体施設、工業施設あるいは商業施設は、許可を得ることが求められている。NPDESプログラムでは、汚染物質の放出によって人の健康や環境に影響が及ぼさないで済むように、放出に関するデータを監視し報告することが許可施設に求められている。現在、このような報告義務がある施設では、州政府などの規制当局に文書でデータを提出しているが、情報をデータ・システムに手作業で入力しなければならない場合がある。このER規則によって、このような施設では今後、担当規制当局に直接データを電子的に報告することになる。

廃水モニタリングの報告義務の対象となるほとんどの施設では、この最終規則の発効日の1年後に電子的に報告を提出し始めることが求められる。第2段階では、たとえば、自治体の都市のストームウォーター(雨水など流出源を特定できない流出水)プログラム、産業廃水の地元の下水処理場への放出のコントロール、および下水の越流についての実績状況報告などの、ほかのCWA報告にもERが組み入れられることになる。

EPAの今後の予定

EPAは、向こう数か月間に、州政府や規制対象の事業体に、最終規則の概要、そしてER実施の次段階を行うための訓練やオンライン・セミナーのセッションの提供を予定している。同庁は、この最終規則を2015年10月に連邦官報に発表するつもりである。最終規則は、この発表後60日で発効する。なお、この規則作成は、コンプライアンスを増やし汚染を減らすために新しいツールと革新的なアプローチを生かしたEPAが州や部族の政府とともに行う「次世代の順守(Next Generation Compliance)」戦略および「環境のためのe-事業(E-Enterprise for the Environment)」戦略の一環である。

【関連URL】
テキストを含む最終規則関連情報:
http://www2.epa.gov/compliance/final-national-pollutant-discharge-elimination-system-npdes-electronic-reporting-rule