中国環境保護部と財政部は、2015年7月28日、北京にて共同で2015年度全国農村環境保護「奨以促治」事業推進会を開催した。会議の発表によると「国がこれから農村環境保護を強化するため、対策部署を作り上げた」といい、農村部の汚水処理市場は今後年間数百億元の規模を迎えると予想されている。
1000億元の市場
「第11次五年計画」、「第12次五年計画」の期間に都市部汚水処理施設の建設が基本的に飽和状態になったため、今後は農村汚水処理が数少ない未開発の「金鉱」マーケットと思われる。中国住建部・農村汚水処理技術北方研究センターの范彬 副主任は以下のように述べ、農村汚水処理の需要は膨大で、約5億の農村人口がサービス対象であり、巨大市場への投資が必要となっていることを説明している。「投資ニーズから、もし今後30年間で1人当たり5000元で計算すれば2兆5000億元が必要となる。また、運営・維持コストについては、60元/人/年で計算すると年間300億元となる」
また、汚水処理産業の潜在的な法則を見れば、農村市場もこれから市町汚水処理を続けて、もう一つの「金鉱」となる。2013年中国統計年鑑のデータによると、2006年から2013年にかけて、全国の設市都市汚水処理率が55.7%から99.1%まで上昇し、現在はほぼ飽和状態となっている(下図)。また県城汚水処理率についても13.6%から82.6%まで上昇しており、このため唯一の未開拓市場が農村市場なのである。2012年の中国農村汚水処理率はわずか7.0%で、北京や上海といった一部の農村汚水処理率は40%を超えているものの、それ以外のほとんどの省においてはまだ本格化的な動きがなく、一部の町でのモデル事業に限られる。
図 市・県行政地域における汚水処理率の推移(2006年-2013年)
汚水処理技術の比較
北京市・水利科学研究所の廖日紅 氏らは、14の村や町の汚水処理場の工事投資コスト、運行コストや排水水質の三つの面で比較をおこなった。「工事投資の面からMBR技術の費用が最も高く、人工土壌処理システムが最も低い。いっぽうで用地面積の点からは、人工土地処理システムが最も用地を使い、生物接触酸化とNAR吸着技術が最小である。メンテナンス技術レベルについては、MBR技術が最も要求レベルが高く、人工土壌処理システムが最も低い」このように廖氏らは述べている。またMBR技術については、排水の水質が安定し、用地面積が少ない、汚泥排出量が少ない、抗負荷衝撃能力が強く、操作管理简単で、処理効果が良いと強調している。
「地域包括」がコストダウンに繋がる
2011年6月、北京市海淀区の水務局が、水処理場建設企業の碧水源と「海淀区の北部地域の汚水処理施設を委託運営契約」を締結した。この契約の中で38か所の汚水処理施設の稼働に関する管理業務を碧水源社に委託した。このほかにも門頭溝区や密雲県などで依頼を受け、運営業務を行っている碧水源社の「点-線-面」の農村汚水処理運営管理パターンが徐々に構築されつつある。このような「地域包括」運営委託の形式が運営コストダウンにつながっているという。
碧水源社は、北京で農村汚水処理場を運営した数十年の経験から、北京地域に適した農村汚水処理形態を模索することができた。それは、新設サイトにおいては「企業が処理施設を設立し、政府が配管網を配置し、環境サービス事業者がBOTの方式で統一的に『地域包括』を行う」というものである。すでに政府が建設した汚水処理場は地域汚水施設「包括」を採用し、運営委託という方式で、企業の技術専門性をより十分に発揮でき、専門的サービスの優位性もあり、かつ大幅なコスト削減を実現できる。