台湾行政院環境保護署は、2015年8月24日、「水汚染防止法の違反回数に応じた処罰、および改善または補正期限通知の執行準則」(以下、本準則と呼ぶ)を制定および公布した。全11条からなる本準則は、主に2015年2月4日に改正公布された水汚染防止法*1の内容および授権根拠の変更に合わせて改正されたものである。本準則では、業者が水汚染防止法の関連規定に違反した場合、監督官庁が規定違反の原因に基づき改善内容を判定した上で、その改善期限を検証・確定すること、また、改善が未完了の場合には、違反回数に応じて処分し、迅速な改善完了を促すよう明確に規定されている。さらに、本準則の制定と同時に、「水汚染防止法違反の日割連続処罰の執行準則」および「水汚染防止法違反の改善または補正期限通知の判断決定基準」は廃止される。
本準則は、主に日割連続処罰の執行準則、および改善または補正期限の判断決定基準を整理・統合した内容となっており、日割連続処罰の起算日、一時停止日および停止日などの関連規定が削除されると共に、実務による管理の強化が図られている。本準則の重点は、以下のとおりである。
- 改善または補正期限通知書は、裁定書とは別に作成し、処分対象、事由、改善・補正事項、改善・補正期限、改善・補正完了時に提出すべき証明書類、および限期到達時に未完了の際の回数に応じた処罰の規定などを記載すること。廃水(汚水)処理施設の機能が不十分な場合、監督官庁は改善計画書の提出を命じなければならない。
- 監督官庁は、現場の考察結果または業者が陳述した規定違反の原因に基づき改善・補正すべき事項を判定すると共に、迂回、希釈など情状が重大で、かつ水系に深刻な影響を与える違反行為に対しては、直ちに改善するよう求め、その他の違反行為については、迅速な改善完了が可能、短期間での改善完了が可能、工程改善が関係するか否か、機能試験などの状況に応じて、それぞれ3日以内から90日までの改善期間を規定するよう明確に定めた。
- 改善計画書の内容および改善期限の規定を明確に定めた。業者が規定期限内に改善計画書を提出した場合、監督官庁は業者に別途、改善実行期間を与える。当該改善実行期間と改善計画書の提出期間の合計は、90日を超えてはならない。規定期限内に改善計画書を提出しない場合、改善期限は改善計画書の提出期限となる。業者は、監督官庁の同意に関する通知を受けた改善計画書の内容に基づき、改善を実施すること。
- 水質検査報告、機能試験報告またはその他の監督官庁の認定に関する記載がある書類など改善、補正完了時に提出すべき証明書類、および監督官庁が改善完了を確認する際の検査方法ならびに日程について規定した。
- 環境保護機関による検査で改善が未完了となった場合、検査日の違反事実に基づき違反回数に応じて処分し、改善期限を再度通知する。同一の理由により改善が必要となる場合、改善期限については、前回の改善実行状況を斟酌した上で決定する。
環境保護署によると、「法への適合を奨励し、違法行為は厳重に処罰する」というのが処罰決定制度の精神であり、この処罰決定手段により、環境品質の維持および企業の公平な競争という目的を達成する方針である。水汚染防止法に違反した業者は、違反の原因に基づき実情に即して検討すると共に速やかに改善を完了し、処罰を回避しなければならない。
「水汚染防止法の違反回数に応じた処罰、および改善または補正期限通知の執行準則」の原文は、以下のURLよりダウンロードできる。
http://ivy5.epa.gov.tw/docfile/060350.pdf
*1 EWBJ53号に関連記事有り「台湾、水汚染防止法を改正――違法排水に対する罰金を大幅に引き上げ、悪質あるいは重大な違反行為に対しては7500万円の罰金も」