中国、海綿都市への年間投資額4000億元を見込む

十三次五か年計画案(2016年~2020年)において水利建設のインフラ整備が重要視され、水資源管理、水環境保護、水生態修復などが生態文明制度構築の内容に盛り込まれた。これを背景にして水関連産業が発展期を迎え、これから5年間において海綿都市構築への投資額が毎年4000億元に達すると予測する専門家もいる。中国都市計画設計研究院資源エネルギー所王家卓副所長は2015年中国水務サミットにて、国家海綿都市の関連計画により、今後5年間で全国658都市の市街地の20%以上(面積比)では、降雨量の70%を現地で処理・利用すると述べている。

清華大学土木水利学院の王忠静副院長の発表によると、2013年に王副院長のチームは全国200都市で調査を行ったが、海綿都市という概念を理解しているのはほんの一部だけであることが分かった。清華大学建築学院主催の市長研修コースを通じ、多数の地方政府責任者が海綿都市について総合的に理解することができ、海綿都市構築への意欲が高まっている。

南京水利科学研究院の張建雲院長によると、都市内部での水害問題が深刻化していることで、国は水資源管理、保護などの面において推進政策を次々に発表し、地方政府が海綿都市など水関連産業の発展を重要視するようになったという。中国最大規模の水産業関連専門展示会である2015年中国水博覧会に26ヵ国の企業328社が参加し、さらには北京、重慶、福建など20以上の都市の水利部門担当者も参加していたことが、その発展傾向を反映している。なお同展示会では、海綿都市が初めて展示のテーマとして注目を集めている。

中国人民政治協商会議全国委員会常務委員会、提案委員会の胡四一主任は、十三五計画において、水利インフラ整備を推進し、農地水利建設、取引市場の育成と発展等について新しい要求が打ち出され、水利事業の重要性が強調されたと述べている。胡主任の紹介によると、中国では、農村飲用水の安全問題が依然として課題であり、洪水防止被害軽減体系が未整備であることや、深刻な水質汚染、水生態系の悪化などの問題の解決が望まれている。これを背景に、「国務院の最も厳格な水資源管理制度の実行に関する意見」「南水北調工程*1供用水管理条例」など一連の支援政策が打ち出され、水関連産業の発展に追い風となる環境を創りだそうとしている。

2014年全国水利建設の投資額は4881億元に達し、うち中央政府による投資額が1627億元で、それぞれ2013年比で11%と15.6%成長した。今後、水利部は、最も厳格な水資源管理制度の実行、水利インフラ整備の推進、全国重要河川湖沼機能区計画の施行、生態悪化の河川生態修復の推進、華北地域などの地下水過度採取対策などに力を入れ、水利投融資体制改革をさらに推進し、公共財政の投入を強化し、金融支援策を地道に施行し、水利事業への民間投資を奨励・指導し、水権の初期配分の合理化を図り、水権取引市場を積極的に育成するという。

*1 中国南方地域の水を北方地域に 送り慢性的な水不足を解消する構想(プロジェクト)の事