マレーシアの鶏肉加工工場、水道の違法利用を理由に強制捜査――300万円相当の水道水を違法で使用

2015年11月25日に現地で報じられたところによると、マレーシアセランゴール州ジャランカパーの鶏肉加工工場が水道の違法利用を理由に強制捜査を受けた。同工場への捜索は、国家水サービス委員会(SPAN)とSyarikat Bekalan Air Selangor社(Syabas)が協力して実施したもの。Syabasはセランゴール、クアラルンプール、プトラジャヤ地域に水を供給している民間の水道事業者である。

調査において違法な水道管接続を発見――給水停止の工場主による違法利用が発覚

これより以前にも同じ場所で水道事業者のメインの水道管に違法な接続パイプがあるのをSyabasが発見しており、今回の強制捜査はそのわずか1週間後に実施された。含まれる塩素を試験した結果、水道管の違法な接続が確認され、工場主がメインの水道管から樹脂製のパイプを用いて工場へ水を引いていたことがわかった。Syabas社の企業広報責任者のAmin Lin Abdullah氏によれば、同工場は約1年間近くにわたって水の違法利用を続けており、その量は合計で11万2000マレーシアリンギット(約314万円)相当に達するという。Amin氏によれば、通報により工場主名義の水道利用権がしばらく利用停止されていたこともわかった。しかし、Syabasが水道利用権を停止してからも依然として同工場は操業を続けていたこととなる。

2015年はこれまでに900件を摘発、深刻な無収水問題の原因

水道の違法な利用についてAmin氏は次のように述べる。「今年だけで、我々は900件の無収水の発生事案を報告しました。そのほとんどがセランゴール州とプトラジャヤ州、クアラルンプールで起こっています」無収水の問題により、Syabasは600万マレーシアリンギット(約1億6800万円)を超える損失を被っているという。「Syabasの水道管からの浄水の盗難を防止する策を執ることが極めて重要です。そうしなければ、Syabasの損失はますます大きくなります」とAmin氏は語る。SPANで企業広報ユニット長を務めるCarol Pelly氏は、記者会見の場において、今後更なる調査を実施し、一時的な給水停止を実施していくとした上で、次のように述べた。「今後、徹底した調査を行い、もし工場操業者の違法行為が見つかった場合には、違法な水道への接続について規定した2006年水道サービス産業法第123条(1)に基づき料金を請求します。また、同法の第123条(3)に基づき、違反した者は10万マレーシアリンギット以上の罰金もしくは1年以下の投獄、またはその双方が課されることとなります」

また別の問題として、Carol氏は国がセランゴール州とクアラルンプール、プトラジャヤ州全34箇所の水処理プラントにおける低い給水予備率に取り組むための方策を執るとも明かした。彼女によれば、この策はランガットの第2水処理プラントが完成するまでの間、水処理・配水能力を高める短期的な措置であり、2015年10月までの平均製造能力47億1000万リットル/日を47億8100リットルに拡張し、これにより予備率は1.5 %となる。