Suez、首都圏代表らに下水から液体バイオ燃料を製造する先端システムを披露

Suez Environnementのジャン=ルイ・ショサード(Jean-Louis Chaussade)最高経営責任者(CEO)とパリ地域下水処理県際協同組合(SIAAP)のブライド・ベドルディーヌ(Belaïde Bedreddine)代表は2016年5月9日、イル=ド=フランス地域圏(首都圏)の副首長、パリ市長補佐、環境保護・省エネ庁(ADEME)のイル=ド=フランス地域圏担当局長、ヴァル=ド=マルヌ県議員、及びすべての関連企業(ENGIE、IVECO、Cryo Pur、Thermoking)の代表を対象とするヴァラントン水処理プラントの見学ツアーにおいて、パリの下水から発生するバイオガスを液体バイオ燃料に改質するBioGNVALシステムを披露した。

ヴァラントン水処理プラント(処理能力:日量80万m3)は欧州最大級のプラントの1つであり、首都圏在住の約900万人の需要をほぼ完全に賄うことができる。BioGNVALは液体バイオ燃料の改質を目的とするフランス初の商業規模の実証システムであり、この最先端システムを可能にしているのがCryo Pur社が開発した低温処理プロセスである。その手順は、バイオガスをメタンとCO2に分離(ガス精製)することでバイオメタンを回収し、さらにバイオメタンを液体バイオ燃料に改質するというものである。

ヴァラントン水処理プラントを共同で操業するSuez社とSIAAPは2013年2月、環境・エネルギー・海洋省(環境省)とADEMEが主導する“未来への投資”プログラムによる支援のもとでBioGNVAL開発プロジェクトを開始した。同プロジェクトの目的は、将来的には国際市場での展開も視野に、バイオガスの液体バイオ燃料への改質が技術的・経済的に実行可能であることを検証することである。現時点で、微小粒子状物質を排出しない、ディーゼルエンジンの燃料と比較して騒音を50%抑制し、CO2排出量を90%削減することができる――といった利点を有するクリーンな燃料を下水から製造できることが実証されている。

BioGNVALは約120 Nm3/hのバイオガスを処理し、日量1トンの液体バイオ燃料を製造する能力を有している。バイオガスを液化することにより体積を600分の1に縮減できることから、液体バイオ燃料は貯蔵や輸送に適しており、重量積載物車両(HGV)、運搬用トレーラー、バス等の長距離輸送手段に利用することができる。液体バイオ燃料への改質は、水処理プラントで発生したバイオガスをリユースすることが難しい場合の代表的な代替手段である。

なお、再生可能エネルギー指令(2009/29/EC)では、EU域内における輸送セクターに占める再生可能エネルギーの割合を2020年までに10%に高めるとの目標が設定されている。このことから、SIAAPは液体バイオ燃料の開発を積極的に推進している。

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