本稿は、EnviXのパートナーでもある「清華大学環境学院環境管理・政策研究所常杪所長」による中国の水市場に関するレポートである。今回は、中国の「黒臭水域問題および関連政策・取り組み」というテーマで、その最近の動向を概説する。
はじめに
近年、中国都市部の水処理は大きな発展を遂げたが、都市河川や湖沼の水質汚染問題は依然として深刻である。住宅・城郷建設部(以下、住建部)が行った調査によれば、全国で7割以上の都市が黒臭水域の問題に悩まされており、都市部における黒臭水域問題はすでに人々の生活や都市発展に深刻な悪影響を及ぼす問題となっている。2015年以降、中国政府は黒臭水域対策を全面的に展開し始めた。本稿は、その最新の政策動向と市場の動き、発展の方向について解説する。
1. 黒臭水域の定義
「黒臭水域」は、中国都市部水環境問題のひとつで、「水が黒く、悪臭を出す都市水域」を指す。黒臭水域の成因は複雑であり、自己浄化能力を失った点が基本的な特徴である。2015年8月に環境保護部が公布した「都市部黒臭水域対策指南」(以下、指南)では都市部黒臭水域の定義を「都市部の市街地において人に不快を感じさせる色と(または)匂いを有する水域」と明記している。ただし、「黒臭水」は感覚的特徴で一般人にとって理解しやすいものだが、現存の水環境基準と統一しないところもある。
上述の指南と比べて、同じく環境保護部が公布した「黒臭水体治理技術政策(意見募集稿)」では、黒臭水についてより明確的で、識別しやすい定義を規定している。すなわち、黒臭水域は「水環境許容量を超えた過剰な汚染物が排出され、黒くて臭い、通常地表水環境質V類水質基準以下で、溶存酸素が2.0mg/L以下の水域」であり、人口集中地域、汚染負荷量が大きい、インフラ整備の遅れた地域に黒臭水域問題が多い、主に都市部の市街地、都市と農村の隣接地域、県城と重要鎮などに分布する。
2. 黒臭水域の汚染現状
住建部の統計データによれば、2016年2月18日までに、全国の地級とそれ以上の都市295か所のうち、黒臭水域が確認されなかった都市は承徳、大同など77都市しかなかった。その他の218都市では、合計1861か所の黒臭水域が確認されている。すでに公開された黒臭水域1861か所のうち「重度黒臭」が三分の一を占め(下図)、公開された1774か所(全体の95.3%を占める)からみれば、黒臭水域の全長は短いもので50 m、長いもので42 kmに及び、合計で数千キロメートルに達したという。
図 黒臭水域の分類と汚染程度の内訳*1
(出典:住建部)
2016年4月15日には全国で認定された黒臭水域は1945か所に上り、既に調査が行われた30省および直轄市のうち、上位10の地域の黒臭水域数が全体の71%を占めている。また地域分布からみれば、黒臭水域の分布は「南多北少」の特徴を示しており、南部地域では黒臭水域は1259か所で、全体の64.7%を占め、いっぽうの北部地域では、黒臭水域は686か所で、35.3%を占める。そのほか、60%の黒臭水域は東南沿海地域と経済発展の先進地域に分布していることもわかった。特に、広東省の黒臭水域は数が最も多く、243か所であり、全体の12.5%を占める。それに続くのが安徽省や山東省で、それぞれ217か所、161か所となっている(下図)。
図 地域別の中国都市部黒臭水域の数
(出典:全国都市部黒臭水域対策監視管理プラットホーム(住建部))
3. 黒臭水域対策の取組状況
中国都市部黒臭水域の成因については、大きくは以下の5つの方面にまとめることができる。全体的には、中国都市部水汚染対策の遅れがその背景としてあり、総合的な対策の不足、対策手段の単一化、目標と水質改善の不一致、建設重視と運営管理軽視、不明確な管理主体・基準、設計建設規範と関連管理制度の不備、資金不足などの問題点が指摘されている。
中国都市部の水域には汚染排出が非常に集中しており、排水管網整備の遅れや多くの都市では地表径流の水量不足などに加え、「対策重視、保持軽視」、「短期重視、長期軽視」など人為的な原因によって周期的な水域悪化問題が生じ、浄化の難易度が高く、水質改善の所要時間が長くなってしまっている。近年、都市部黒臭水域対策が講じられているが、目に見える効果が表れなかった。「水汚染防止行動計画」(水十条)においても都市部黒臭水域の浄化は難易度の高い分野と考えられている。
都市部の黒臭水問題を解決するには、都市水資源管理システムと地域健康水循環システムを構築し、根本から都市部水生態環境を改善、修復することが不可欠である。近年、上海市(蘇州河)、山東省(小清河流域)、浙江省(五水共治)、江蘇省(河長制度)、広東省(河川治理)などの地域では。都市部水環境総合整備の取り組みが始められている。
4. 関連政策
環境保護部が2015年1月に編成した「国家環境保護第13次五ヵ年計画の基本方針」によれば、中国環境保護の全体方針は第12次5ヵ年計画期間の「汚染物総量規制」から第13次五ヵ年計画期間の「環境質の改善」へと転換する。黒臭水域は公衆の目に見える、改善を迫られる環境問題として、環境保護計画に編入され、一連の関連政策が発表された。
黒臭水域対策の関連政策 | 国務院 | 水汚染防止行動計画 |
---|---|---|
住建部、環境保護部 | 都市部黒臭水域対策指南 | |
環境保護部 | 黒臭水域対策技術政策(意見募集稿) | |
国務院 | 海綿都市建設に関する指導意見 | |
財政部、環境保護部 | 水汚染防止特別資金管理弁法 |
4.1 国家政策「水汚染防止行動政策」(水十条)と「海綿都市建設の推進に関する指導意見」
2015年4月、中国国務院は「水汚染防止行動政策」(通称「水十条」)を発表し、初めて都市黒臭水域対策を国家政策レベルで明確に規定した。「水十条」では黒臭水域対策として「汚染排出源の規制強化、ごみ清掃、河道浚渫、生態修復」などの措置が挙げられ、各都市に対して半年毎に取り組み状況の公開を義務付けている。また下記の通り、黒臭水域対策の目標を明確した。
2015年末まで | 地級とそれ以上の都市の都市部は水域調査を実施。 黒臭水域の名称、責任者及び基準達成期限を公開。 |
2017年末まで | 川面に大面積の漂着物がない。川辺にゴミの堆積がない。 直轄市、省会都市、計画単列市の都市部では黒臭水域を除去。 |
2020年末まで | 黒臭水域対策の目標をすべて達成。 |
都市部水環境の改善には発展改革委員会や住建部など複数の部門が関係している。中国政府は「水十条」で、黒臭水域問題を流域的環境問題とすることではなく、各都市を黒臭水域対策の責任主体とする方針を固めた。また、中国国務院が2015年10月に発表した「海綿都市建設の推進に関する指導意見*2」では、都市部黒臭水域対策が海綿都市構築の内容の一部で突破口と位置付けられた。指導意見の発表によれば、黒臭水域問題は孤立した環境問題ではなく、都市建設の重要な一環と見られるようになる。
4.2 特別政策・措置と監督管理プラットホーム:「都市部黒臭水域対策指南」、「黒臭水域対策技術政策(意見募集稿)」、「都市黒臭水域対策監督管理プラットホーム」
2015年8月、住建部と環境保護部は共同で「都市部黒臭水域対策指南」を公布した。同指南は初めて都市部市街地における黒臭水域対策について規定する政策であり、「水十条」を具体化する政策にあたる。都市部黒臭水域対策について、具体的かつ数値的な目標を明確にしている。
2015年末までに | 地級とそれ以上の都市の都市部は水域調査を実施。 黒臭水域の名称、責任者及び基準達成期限を公開。 |
2017年末までに | 川面に大面積の漂着物がない。川辺にゴミの堆積がない。 違法な排出口がない。 直轄市、省会都市、計画単列市の都市部では黒臭水域を除去。 |
2020年末までに | 地級とそれ以上の都市の都市部における黒臭水域を10%以内に抑える。 |
2030年 | 都市部における黒臭水域をすべて除去。 |
同指南は初めて黒臭水域の判定方法と汚染程度の分類基準(下表)を規定し、都市部黒臭水域対策の優先順位と年間計画の制定の参考となるもので、浄化措置の効果、評価の根拠となるものである。
表 都市部黒臭水汚染程度の分級基準
指標(単位) | 軽度黒臭 | 重度黒臭 |
---|---|---|
透明性(cm) | 10~25 (※) | <10(※) |
溶存酸素(mg/L) | 0.2~2.0 | <0.2 |
酸化還元電位(mV) | -200~50 | < -200 |
アンモニア窒素(mg/L) | 8.0~15 | >15 |
(※)水深が25 cm以下の場合、水深の40%の値とする
同指南により、都市部黒臭水域対策の枠組みと流れ(図3)、責任主体が明確になった。例えば、各地方政府は黒臭水域の全体計画に基づき、各黒臭水域の個別対策の編成を専門機構に依頼することが可能であること、浄化工程は専門機関または企業に依頼することが可能であること、方案の全過程監視を第三者機関に依頼することができる、などである。
また同指南は、公衆の感覚を対策効果評価の手段とする原則を明確にした。すなわち、評価結果が「無黒臭」の水域に対して争議が起こり、調査した結果、「黒臭」と回答した人数が調査対象の60%以上を占めた場合、当該水域は「黒臭水域」と判定される。また、調査対象の90%以上が黒臭水域対策事業の効果について「非常に認める」または「認める」と答えた場合、対策事業目標を達成したと判定する。
同指南に従い、住建部は環境保護部と共同で「全国都市黒臭水整治監管プラットホーム」を構築し、情報公開を通じて地方対策を促進する。初回調査で分かった黒臭水域1861か所のリストはすでに当該プラットホームで公開された。また、公衆による黒臭水域の報告、対策参加を奨励し、公衆からの回答を定期的に公開する。
さらに、2015年9月に環境保護部は「黒臭水域対策技術政策(意見募集稿)」(以下、技術政策)を公布し、黒臭水域の対策原則と技術路線を明確にした。本技術政策では、各種の異なる汚染源によってそれぞれに適する技術方案を示し、各地の黒臭水域対策方案の制定に方向性を示した。先ほどの「指南」と比べて、本技術政策では政策の適用範囲がより拡大し、都市部市街地のほか、都市部と農村部の隣接地帯、県城と重要鎮も含めている。
図 都市部黒臭水域対策の実施フロー
(出典:環境保護部、都市部黒臭水域対策指南)
4.3 財政部「水汚染防止特別資金管理弁法」
2015年7月、財政部は環境保護部と共同で「水汚染防止特別資金管理弁法」を発表した。本弁法は都市部における黒臭水域対策を特別支援資金の重点支給対象分野と規定し、同時に、官民パートナシップ(PPP)事業を支援する方針が示された。
以上のように、総じていえば「水十条」及び一連の関連政策・法令の公布によって、黒臭水域対策関連政策の基本的な全体像が構築され、各地方における黒臭水域対策の実施に向けて指針が示された。
5. 都市部黒臭水域対策市場
5.1 市場規模
黒臭水域の面積、汚染程度、対策の選択、所在地の財政状況などによって、各種の単位投資額の差も大きい。環境保護部・環境計画院が公開した論文では、浙江省と江蘇省における黒臭水域対策の投資の例を挙げ、河道黒臭水域対策の投資額は1 kmあたり3500万元~4500万元(汚染源対策、汚染排出の遮断(管網)、汚水処理場の建設、浚渫、導水貧酸素改善などの内容を含める)に上っているという。また住建部が公開した投資計画データに基づき計算した結果として、黒臭水域対策の計画投資額は1 kmあたり4100万元前後という試算もでている。
国レベルの全体計画が公布されたことで、各地域も関連政策を制定・公布し、黒臭水域対策の実施スケジュールを立て、実行に移り始めた。現段階では、第13次5ヵ年期間において黒臭水域対策分野が大きな成長を見せるものと考えられる。「都市部黒臭水域対策指南」で定めた「直轄市、省会都市、計画単列市の都市部は2017年までに基本的に黒臭水を除去する」という目標からすれば、控えめな予想としてこれらの都市では黒臭水域の投資需要は700億元*3(対策を必要とする水域の長さがおおよそ1750キロメートル)を超え、2016年と2017年の2年間で一気に進められる見込みである。
5.2 都市部黒臭水域対策の投資方式
地方政府は都市部黒臭水域対策を実施するさいに、投融資面で通常以下の2種類の問題に直面する。
- 資金の需要量が大きい(前期の施設建設、および後期の運営維持に要する資金)。
- 「施設建設」と「運営維持」が人為的に分断され、事業ライフサイクルコスト(LCC)と効果の統括管理者が不在。
このため、短期的政府投資資金不足の問題の解決策としては民間資本が期待されている。すでに公布された黒臭水域対策関連政策でもPPP方式を奨励されている。
表 都市部黒臭水域とPPP関連政策
政策名 | 政策内容 | 所管部門 |
---|---|---|
水汚染防止行動政策 | システム設計、設備製造、工程施行、テスト運転、維持管理を含む環境サービス総請負、PPPなど。汚水、ゴミ処理と工業団地を重点として、環境汚染第三者サービス。 | 国務院 |
都市部黒臭水域対策指南 | 環境サービスの政府調達、PPPなどを通じて都市部黒臭水域対策と維持管理を実施することを奨励し、整備と維持の効果に基づく支払メカニズムを構築。 | 住建部 環境保護部 |
水汚染防止特別資金管理弁法 | 地方政府と環境保護部門は規定通りに中央特別資金を活用し、PPP事業へ優遇と支援を提供。 | 財政部 環境保護部 |
海綿都市建設に関する指導意見 | PPP、特許経営等の方式を奨励し、海綿都市建設へ民間資本の投入を誘致する。海綿都市の投資、建設、運営に民間資本の参入を奨励する。 | 国務院 |
6. 都市部黒臭水域対策の進展
住建部のデータによれば、2016年2月18日、各省および直轄市における黒臭水域対策への投資計画額として279億9500万元が計上されているという。すでに投資計画を公開した省および直轄市は全国の半分を占め、主に黒臭水域数の多い省である。しかしながら、公開された投資計画の対象となる黒臭水域の数は、全体的にはまだ少ない状況である(下図)。
図 中国各地の黒臭水域対策事業の投資計画の状況
(出典:住建部)
各地の黒臭水域対策の進展に関して、ほとんどの地域はまだ初期段階にあり、対策の技術路線などを検討している最中である。実施に入った地域は少なく、主に広東省、山東省、江蘇省、北京市など黒臭水域を多く抱え、経済発展の先進地域に限られている。
現段階では、各省、直轄市は主に「都市部黒臭水域対策指南」に基づき対策を展開している。同指南によれば、民間企業の参入が可能な部分として、建設工事の実施、維持運営(日常管理、清掃等)などが挙げられている。この半年間における黒臭水域対策関連の入札状況からみれば、各地方政府は前期の黒臭水浄化と後期の維持管理を分断している。黒臭水浄化のビジネスモデルとしては基本的にBT(建設-移転)またはEPC(設計-調達-建設)で、地方環境局、水利局、住建局または地方政府傘下の国有企業が調達側もしくは発注者となっている。
また、事業の規模と種類によって、黒臭水域対策の実施方式は異なり、大きく分けて次の3つに分類される。
(a) 海綿都市建設事業または水環境総合整備事業
(b) 黒臭水域問題の解決だけを目的とした事業
(c) 維持管理事業
(a) 海綿都市建設事業または水環境総合整備事業
黒臭水域問題は海綿都市構築の突破口と位置付けられ、一部の都市は黒臭水域対策を海綿都市構築のその他の内容(例えば、雨水総合利用、管廊建設)と一体化、または、黒臭水域対策を都市健康水環境づくりの一環として、主に水環境の総合整備と生態修復を事業の中心とする。この種の対策事業は規模と前期(施設建設)の資金需要量が大きく、主にPPP方式を採用している。実施者は主に上場企業や民間の大企業である。例えば、北京高能時代環境技術股份有限公司、博天環境集団有限公司などである。
(b) 黒臭水域問題の解決だけを目的とした事業
通常、河道の清掃浚渫、汚水遮断配管敷設などの事業内容を含む。規模が比較的に小さく、中小企業の参入が可能。実施者は実際の事業規模などによって、上場企業、地方国有企業、地方民間企業などを含む。例えば、四川環能徳美科技股份有限公司、広西建工集団聯合建設有限公司、上海市水利工程集団有限公司、四川省博克建設工程有限公司などである。
(c) 維持管理事業
各地方政府は、基本的に前期の浄化と後期の維持管理を分断して実施・管理する方針である。維持管理事業の規模が小さく期間が長いという特徴から、地方の中小規模民間企業の参入が可能。現在、維持管理事業の実施者は主に地方の市政エンジニアリング企業、環境保護企業と水利企業である。例えば、上海市統順市政工程有限公司、広州僑銀環保技術有限公司などである。
7. 黒臭水域対策関連技術
都市部黒臭水域対策関連技術の選定は主に「適用性、総合性、経済性、長期性、安全性」を原則としている。環境保護部公布の「都市黒臭水体整治工作指南」では関連技術を下表の通り4種類に分けている。うち、排出源管理と汚水遮断(配管敷設)は黒臭水域対策の根本的措置である。
表 都市黒臭水域対策の技術分類
(出典:環境保護部「都市部黒臭水域対策指南」)
技術種類 | 技術名称 | 適用範囲 |
---|---|---|
汚染源管理排出遮断技術 | 汚水遮断/配管敷設 | 都市部水域沿岸の汚水排出口と分流制雨水管道の初期雨水の排出口、合流制汚水システムの沿岸排出口、その他の永久性整備事業 |
非点源汚染源の管理 | 初期雨水、氷雪融水、畜産養殖排水、地表固形廃棄物 | |
*4対策技術 | ゴミ清掃 | 都市部沿岸地帯ゴミ一時置場の清掃 |
生物死骸と漂着物清掃 | 水生植物と沿岸地帯植物の季節毎の刈り取り、落葉と水面漂着物の清掃 | |
浚渫清掃 | 全ての黒臭水域に適用。特に重度黒臭水域の底泥浚渫。 | |
生態修復技術 | 沿岸地帯修復 | 主に硬化河岸(湖岸)の生態修復 |
生態浄化 | 都市水域水質の長期的保持 | |
酸素供給 | 段階的措置として、水質維持の手段 | |
その他の措置 | 活水循環 | 都市部の低流速水域と沼の汚染対策と水質維持 |
清潔水供給 | 都市部水不足水域の水量補充。水域の流動性の改善 | |
現地処理 | 短期間での汚水遮断、配管敷設のできない排出口、置換または補充水源のない黒臭水域に適用 | |
バイパス処理 | 全面的な汚水遮断のできない重度黒臭水域または外部からの補充のない閉鎖性水域に適用。突発的黒臭問題の応急処理 |
おわりに
都市部黒臭水域対策は「水汚染防止行動計画」における難易度の最も高い問題と考えられている。また、「直轄市、省会都市、計画単列市の市街地では2017年までに黒臭水域問題を基本的に解決する」という目標からみれば、ほとんどの地域はまだ初期段階にあり、実施に入った地域は少ないという現状が、対策を進めるうえでの課題であると考えられる。
ビジネスモデルに関して、基本的にBTまたはEPC方式を採用している。規模の大きさによって、上場企業または大型民間企業は大規模事業に、地方国有企業と中小企業は小規模事業と維持管理などに参入している。ただし、浄化事業や維持管理事業については外資系企業の参入が難しいと見られている。
関連政策の発表によると、各地では黒臭水域対策が展開され、黒臭水域対策市場が拡大されつつある。黒臭水域対策市場規模は数千億元に及ぶと予想され、これから非常に有望な発展分野になると見込まれる。
*1 「重度黒臭」と「軽度黒臭」の分類基準については後述する。
*2 EWBJ56号に関連記事あり「中国、海綿都市建設の推進に関する指導意見を公表」
*3 上記推定値に基づき計算した値。
*4 水底泥に含まれた汚染物および浮遊物、懸濁物質、沿岸ごみ、水生植物・藻類により発生する腐敗物などを指す。