サステナブルなメキシコを目指す国家政策実行の一環として、メキシコ水委員会CONAGUAは、ソノラ州の米国との国境に近いノガレス市で、環境や経済、社会にとって恩恵となる、メキシコ初の太陽熱発電を利用した汚水処理プラントを立ち上げた。CONAGUA局長は、この太陽熱発電技術は省エネに貢献し、また稼動コスト削減により長期にわたる使用が可能であり、処理水が排水される水域の環境保護の観点からも、今後国内の他の地域でも利用されるべきであると述べている。
図 太陽熱発電を利用した汚水処理プラントの開所式の様子
(出典:iagua)
3000個のソーラーセルが設置されたこの汚水処理プラントでは、稼動の為の960kWhのエネルギーの全てが太陽熱発電で供給され、毎月50万ペソ(約279万円)の節約が可能となる。メキシコでは他の州でも、電気代コスト上昇により、稼動していない汚水処理プラントがいくつかあり、今後他の州への拡大が望まれている。
なおメキシコの太陽熱発電協会によれば、メキシコは2016-2017年に、ラテンアメリカで最大の太陽熱利用国となると予想されている。2016年には9億米ドルの太陽熱発電への投資により、太陽熱による発電量は600メガワットに到達する見込みとなっている。2015年の太陽熱発電設置は100メガワットで、2014年比100%増加しており、2015年末で260メガワットに達した。これは、メキシコ全体の発電量の0.4%、世界の発電量全体の0.13%に相当する。
メキシコの太陽熱資源量は、太陽熱発電が盛んなスペインやドイツなどの欧州よりも60%高く、その中でも特に陽光のきついソノラ州では、1年半以内という短期で投資が回収できるという利点があるとされている。