米でPFOA・PFOSによる水道水汚染をめぐる訴訟――Daikinは和解、3Mは今後も争う構え

米アラバマ州北部のウェストモーガン・イーストローレンス上下水道公社は、水道水がペルフルオロオクタン酸(PFOA)およびペルフルオロオクタンスルホン酸塩(PFOS)で汚染された件で、Daikin America Inc.、および3M Co.とその子会社Dyneon LLCが原因企業であるとしてこれら3社を相手取って訴訟を起こしていたが、3社のうちDaikinとの和解がこのほど成立したことを2016年9月1日に公表した。

Daikinとの和解内容

今回の和解で、Daikinは500万ドル(約5億円)を公社に支払う。このうち、390万ドル(約39000万円)は公社の浄水施設に活性炭濾過システムを導入するのに使われる。また、残りのうち45万ドル(約4500万円)は、汚染物質対策のために通常より割高の水道料金を支払わされてきた利用者への賠償に充てられる。なお、DaikinはPFOAおよびその関連物質の使用を2011年に中止しており、PFOSについてはこれを使用したことは一度もないとしている。

3Mは係争を続行

テネシー川を汚染されたとされるDaikinと3Mの工場の敷地は、たがいに隣接している。Daikinの工場はかつて3Mが所有していた土地にあり、このため、Daikinはペルフルオロ化合物問題の遺産を背負い込まされてきたという見かたもある。Daikinが上述のように和解に応じたのに対し、3Mは今後も争う構えを崩していない。この両者の違いを、公社の代理人であるCarl Cole弁護士は、「Daikinはこちらの話をよく聞き、よき企業市民として協力して解決策を見出し、行動しようとしたが、それにひきかえ3Mは、状況を完全に無視し、問題の解決策をみつけようという努力を否定し、遅らせる戦術に没頭し、ボトル1本分の水さえ弁償を拒んできた」と評している。