イラン、深刻な水不足で穀物の栽培制限へ

2018年2月17日に現地で報じられたところによると、降水量が少なく水不足が続くイランでは、地下水の水位が警戒水準まで下がった地域を対象に、政府が穀物栽培の制限を導入すると発表した。農業省のMahmoud Hojjati大臣は本件について「フーゼスターン州やマーザンダラー州といったその他の地域では今のところ、浅い井戸は利用することができます」とコメントしている。

この水不足については、エネルギー省のReza Ardakanian大臣が春の耕作への悪影響を憂慮している他、マーザンダラー州農業ジハード機構のDelavar Heydarpour会長は特に、田植えの季節に深刻な影響があるとの懸念を示している。同会長によると、2018年に入ってから同州のダムに貯えられた水の量は、昨年同時期と比べて平均40%少ないという。「我々は、サリー市やミアンドロウド市、ベシュアール市、ガルガ市、そしてユヴァール市とスィーモルグ市の一部を含む農家に対し、米の植え付けをやめ、かわりに油料種子または飼料の栽培を行うことを提案します。」一方で、イラン水産業連盟(Iran Water Industry Federation)の会長は、水不足は、イランが抱える最大の問題の一つであるものの、その原因は、過去数年間にわたり顕在化してきた、水資源の不十分な管理にあると批判した。「様々な穀物を販売・輸出することにより得られる収益は、灌漑のために利用される水と等価ではないのです。」

ある報告によれば、イランでは水資源の92%が持続可能でない、無駄の多い方法で浪費されているという。同国は20年にわたり干ばつに苦しめられているが、この干ばつに国民の消費量の多さと無駄遣いの多さが重なって、イランの再生可能水資源の量は1200億m3にまで低下している(計算によっては880億m3)。世界で最も水ストレスが大きい地域にある同国は、過去10年世界の平均降水量を下回る状況が続いており、全国民(約8000万人)のうち3700万人が大きな水ストレスにさらされていると言われている。