国際水協会(IWA)発行のウォーターリサーチ誌(2018年9月15日発行)に掲載されたドイツの研究[1]によると、調査したボトル入りミネラルウォーターすべてがマイクロプラスチックで汚染されていた。本論文は、1μmという最小分析粒子サイズのボトル入りミネラルウォーターサンプルから検出されたマイクロプラスチック、顔料、添加用粒子について報告した、初めて研究である。そのハイライトは次のとおりである。
- マイクロ粒子(1μmまで)を対象にミネラルウォーター32サンプルを調査した。
- ボトル詰めタイプの水すべてがマイクロプラスチックに汚染されていた。
- 再使用可能な、紙ラベル貼付のボトルの水は、顔料粒子を含んでいた。
- マイクロプラスチックと顔料粒子の約9割は5μmより小さかった。
- 論文では、包装材のような潜在的な汚染源について議論した。
問題の設定と研究の方法
著者らによると、ボトル入りのミネラルウォーターのマイクロプラスチック汚染に関する研究は、今のところほとんどない。これまでの分析の最小粒子は5μmである。しかし、毒物学的理由から現在では、1.5μmよりも小さなマイクロプラスチックがさかんに議論されている。本研究では、ボトル入りのミナラルウォーター32サンプルを対象に、マイクロプラスチック、顔料、添加用粒子による汚染を調査した。その際、アルミニウム被覆ポリカーボネート膜と顕微ラマン分光法を採用することで、1μmという最小分析粒子サイズを達成した。
調査の成果
あらゆるタイプのボトル(ペットボトルとガラスボトル;使い捨て、再使用可能の双方)の水から、マイクロプラスチックが検出された。ミネラルウォーターのマイクロプラスチックの数量は、使い捨てのペットボトルで1リットルあたり2,649~2,857個、ガラスボトルで6,292~10,521個と、ばらつきがあった。プラスチックボトルで最も多いポリマーは、ポリエチレン・テレフタル酸(PET)であった。ガラスボトルからは、ポリエチレンやスチレンブタジエンコポリマーなど、さまざまなポリマーが見つかった。したがって、容器そのものが汚染源である場合と、それ以外の汚染源の双方を検討しなければならない。
顔料粒子のケース
紙ラベルが貼付された再使用可能なボトルから、大量の顔料粒子が見つかった(ガラスボトルから1リットルあたり195,047~330,810個、ペットボトルから同23,594~25,518個)。水サンプルから検出された顔料のタイプは、ラベルの印刷に使われたものと同じであった。これは、容器の洗浄工程が汚染源である可能性をうかがわせるものである。
図 ボトル毎の検出された顔料粒子(上段)およびマイクロプラスチック(下段)の内訳
(引用:Small-sized microplastics and pigmented particles in bottled mineral water)
[1] Barbara E.Oßmann, et al., Small-sized microplastics and pigmented particles in bottled mineral water, Water Research
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0043135418303956