オランダ、干ばつによる記録的な水不足で河川の塩水化対策を今後も継続

オランダのインフラ水利省が2018年8月30日、干ばつによる水不足に依然として同国が苦しんでおり、引き続き水不足対策を実施していく、と発表した。同省によると、この夏、オランダは深刻な干ばつに見舞われ、河川や降雨による生活用水だけでは水が確保できない事態が生じた。この状態がなおも改善されないことから、同省は、今まで講じた措置のほとんどを引き続き実施していく。とくに、河川の塩分上昇に注意しなければならないという。たとえば、北海に流れるライン・マース川河口の塩分濃度が増加している。これは、渇水でライン川からの流入量が少なくなったことから、海面が上昇し、ライン川から北海に流れ込む経路にあたるホランセ・アイセル川とニューウェ・マース川の河口が一時的に塩水化されたためである。また、ドイツとの国境の町ロビトからオランダ側に入るライン川の水も、塩の量が同じでも水量が少ないため、やはり塩水化している。

アイセル湖の塩水化対策

アイセル湖(オランダ北西部の巨大人造湖)では塩分濃度が上昇している。たとえば、締切大堤防(オランダ北部にある世界最大の堤防で、アイセル湖と北海を仕切っている)の陸閘(りっこう;河川等の堤防の役割を果たす目的で設置された施設)を通って、海水がアイセル湖に逆流している。水から塩分を抜くため、コルンウェルデルザントとデン・ウフェルをつなぐ陸閘で浄水するとともに、海水をポンプで海側に排出している。この対策は2019年も引き続き実施する。

エイマイデン市ノールデルスライスでのバブルスクリーン(気泡壁)設置

エイマンデン市は、北海運河の塩分を可能な限り制限するため、ノールデルスライスの海と川の境にバブルスクリーン(気泡壁;運河河口を横断して川底に気泡発生装置を敷設し、大量の気泡の壁を作ることで塩水と淡水が交わらないようにする)を2カ所設置し、海水の逆流を避ける取り組みを進めている。

水質改善の取り組み

8月最終週にはさすがに水温が下がったが、水質改善のほうは限定的であった。アオコの発生、ボツリヌス中毒、魚類の死亡、遊泳禁止などが相次いでいる。

水不足への意識啓発活動

オランダの水管理当局は、飲料水が十分足りているとしても水を無駄にせず、また1日を通して水を利用できるようにするため、水不足の呼びかけを継続していく。